ディスクロージャーやムラ・マサの曲で顔見世し、BBCの〈Sound Of 2016〉にノミネートもされたロンドン発の注目新人が待望のアルバム・デビュー。アリーヤを早回ししたかのような甲高いロリータ・ヴォイスが、80~90年代R&Bとビート・ミュージックの撹拌と言える楽曲に乗る様は異様にキャッチー。ジェネイ・アイコあたりの幽玄さとFKAツイッグスの尖った奇抜さ、その両方を掠めつつ一歩先に着地した快作だ。タメを効かせたビートの“Girlfriend”などで躍動する瑞々しいヴォーカルも魅力的で、なかでも持ち前の声質が映えるキュートなファンク“Happy”は最高。ロイス・ウッド・ジュニアがプロデュースしたシックなエレクトロニック・ソウル“DYWM”や、2014年の活動開始時からの盟友AK・ポールと親密なデュエットを交わすメタリックなブギー“Trophy”など、新進のサポートを得た楽曲もクールで刺激的だ。スケール感のある美麗なスロウ“Blue Wine”然り、ソングライトも巧みな、真の未来派R&B作品。