あの『建設的』のリリース30周年を記念したトリビュート盤!
タレント/作家としてのマルチな才は言わずもがな、昨年からは「フリースタイル・ダンジョン」の審査員も務め、その経歴が若い世代にも知られるようになったいとうせいこう。そんな理解をさらに深めるのが、9月21日にリリースされたいとうせいこう&リビルダーズ名義の『再建設的』だ。これはちょうど30年前の同日に、彼がTINNIE PUNX(藤原ヒロシ&高木完)と組んで発表したアルバム『建設的』のトリビュート作となる。ヤン富田の手掛けたオリジナルは、“東京ブロンクス”など日本語ラップの先駆的な名曲を数多く含む野心的なアルバムだった。
今回トリビュートの対象となったのは、『建設的』とその後のEP『BODY BLOW』収録曲を中心とする全15曲。オリジナルにも参加していた高橋幸宏(METAFIVEの1/2編成で参加)や大竹まこと、KERAから、スチャダラパー、須永辰緒、MCU、真心ブラザーズら縁のある面々が登場するなか、岡村靖幸のリミックスがあったり、レキシが『オレデスム』(92年)から選曲していたり、サ上とロ吉やRHYMESTERが『MESS/AGE』(89年)所収の名曲を選んでいるのもポイント。現在のせいこうとヤン富田が聴かせる“スイート・オブ・東京ブロンクス”も必聴だ。
なお、同じタイミングではオリジナルの『建設的』もリイシューされるほか、せいこうと藤原ヒロシが組んだSUBLIMINAL CALMによる唯一のアルバム『SUBLIMINAL CALM』(92年)も豪華仕様で復刻。ムック本「いとうせいこうを探せ! デビュー30周年記念ハイブリッドブック」も併せ、いまも新鮮な30年の歴史を振り返ってみてほしい。