まさに青天の霹靂と言えるサプライズ! パンク景気のダメ押しとなる新作がついに登場!!

 もう何十回と聴き込んでいる人も多いことだろう。一切の告知ナシでリリースされた16年半ぶりのニュー・シングル“ANOTHER STARTING LINE”がここに到着。バンド復活後はマイペースに活動を行っていたが、まさか新音源を聴ける日が来るとは。全4曲を通して、〈これぞHi-STANDARD〉としか形容できない音がぎっしりだ。ポジティヴなエネルギーを放ち、太陽の如き眩しさで聴く者を照らすパンク・サウンドは、熱くも温かい。

Hi-STANDARD ANOTHER STARTING LINE PIZZA OF DEATH(2016)

 重厚なギターで火蓋を切るオープニング曲“TOUCH YOU”は無駄を削いだストレートなアプローチを見せているが、どこを切っても〈貫禄〉の二文字が浮かぶ骨太な演奏力に圧倒されるばかり。続く表題曲は、今作のなかでも飛び抜けたポップセンスを誇る楽曲だ。歌とコーラスが織り成すハーモニーは、完全にハイスタの刻印が押されたもの。口ずさみやすい極上のメロディーラインは爽やかさと味わい深さを同時に備えている。

 次の“NOTHING TO LOSE”はエッジの鋭いリフが猛烈にカッコイイ疾走ナンバー。思わず拳を突き上げたくなる衝動に駆られてしまう。後半、横山健によるメタリックかつブルージーなギター・ソロも良いアクセントだ。そしてラストの“RAIN MAKER”も、歌とコーラスの掛け合いが冴え渡った曲調。ちょっぴりセンティメンタルな美旋律が胸に沁み入る。〈失えば失うほど なにかを得るのさ〉という歌詞も今の彼らにしか歌えない説得力が宿っている。

 なお、今作は『GROWING UP』(95年)、『ANGRY FIST』(97年)を手掛けたライアン・グリーンとふたたびタッグを組んでレコーディングされた。ドシッとしながら、クリアに抜けるサウンドも聴き応え十分である。とにかく、新音源を作ったということは今後もハイスタを続けていくという意思表明だろう。今後も多くのリスナーに勇気と希望を与える存在であり続けてほしい。