気鋭のトラックメイカーと共にさまざまな方向への可能性を広げゆくブライテスト・ホープ

 モデルとしても活躍し、ファッション誌のウェブサイトでコラムを連載。そしてInstagramのフォロワーが1万人超えと、その経歴やルックスも話題の向井太一だが、やはりもっとも注目すべきは彼の作り出す音楽だ。今年の3月に初のEP『POOL』を発表してからはSoundCloudに音源をアップし続けていたが、ここに2枚目のEP『24』が完成した。本作では気鋭のトラックメイカーを多く起用し、インディーR&Bソウル風味のメロウ・ポップとよりシンクロする一枚に。

向井太一 24 MIYA TERRACE/トイズファクトリー(2016)

 華やかなシンセ使いと痛切なメロディーとの対比が印象的なstarRoとの“SPEECHLESS”、音数を絞ったミニマルかつアトモスフェリックなトラックがいかにもなyahyelとの“STAY GOLD”、grooveman Spotが参加し、メロウな雰囲気に乗ってみずからの24年の半生を振り返る“24”と、多彩な楽曲が並んでいる。バンド・シーンで言えば雨のパレードが志向していることにも通じるし、ヴォーカリストという意味では海外におけるサム・スミス、あるいは日本における米津玄師のようにもなり得る――そんな可能性を持った稀有な存在だと言っていいだろう。