
華々しいアニヴァーサリーの季節を軽やかに超えて、3人の眼差しはもうその先の景色へ。その魅力的なクリエイションを伝えるのに、もう言葉は必要ない……?
2016年にデビュー15周年を迎えたw-inds.。メモリアル・イヤーを経て、新年の一発目にリリースするニュー・シングル“We Don't Need To Talk Anymore”は、カップリングの“Again”も含めてメンバーの橘慶太が初の全面プロデュースを手掛けている。いまやw-inds.はEDM~トロピカル・ハウス~インディーR&Bなどを経由したオンタイムなダンス・ミュージック・サウンドをみずからの手でクリエイトするまでになった。2017年、日本が誇るべきダンス・ヴォーカル・グループは新たなフェイズに突入する。
——慶太さんが初めて全面セルフ・プロデュースを手掛けたこのニュー・シングルが、2017年以降のw-inds.にとっても大きな意味を持つと思います。そもそもどのような経緯で慶太さんがプロデュースを手掛けることに?
橘 慶太「“We Don't Need To Talk Anymore”はもともとw-inds.用に作った曲ではなかったんです。いつも基本的にリリースのことは何も想定せず自由に曲を作っているので。ソロのときはこういう曲を作ろうと思って作ったりもしますけど、いまはソロのリリース予定もないので。この曲もただ研究と遊びを兼ねて現行のEDMによくあるようなドロップをヴォーカルのエフェクトで構成する曲を作っていて。w-inds.の曲になることは想定していなかったんですけど、いまのw-inds.がそういう曲をやったらおもしろそうだなとはずっと思っていて。サビで歌わずにガッツリ踊る曲はいままでなかったし。それで、そういうタイプのトラックを海外から集めようと思ったんですけど、なかなか思い通りのトラックが見つからなかったんですね。それで、なんとなくメンバーとスタッフに〈僕が作ったトラックでこういうのがあるよ〉って提案したらみんな気に入ってくれて。そのときカップリングの“Again”も含めて4曲くらいみんなに聴かせたのかな? どれも反応がよかったので、じゃあ“We Don't Need To Talk Anymore”と“Again”を2017年一発目のシングルにしようかってなったんですよね」
千葉涼平「それはすごく自然な流れでした。慶太は以前からカッコいいトラックが出来たら、すぐに僕らに聴かせてくれていたので。今回も曲決めのミーティングをしているときに〈なかなかいいトラックないね〉〈あ、慶太のあのトラックがあるじゃん!〉みたいな感じで決まったんですよ。“We Don't Need To Talk Anymore”はダンス的にもこんなに踊るのは久々だなという実感があって。最近は(ダンスのモーションを)抜いた感じの曲が多かったので。この曲も抜きの部分はあるんだけど、抜きの部分でも集中しなきゃいけなくて」

慶太「見ている人には伝わりづらいけど、かなり疲れるんだよね(笑)」
——結果的にこのタイミングでセルフ・プロデュースすることでw-inds.がまた新たなフェイズに突入する契機にもなると思ったんじゃないですか?
慶太「それはその通りですね。僕がw-inds.の曲を作ることのメリットとデメリットがあると思うんですけど、いまはメリットのほうが多いと思えたんです。そのメリットは、今後トラックが集まらなかったときに僕が作ればいいということでもあり(笑)。そうすることで、w-inds.というグループの存在価値も上がると思うんですよね」
——こと日本においてはトータルで曲をセルフ・プロデュースしているダンス・ヴォーカル・グループは稀有ですしね。
慶太「そうなんですよ。僕はアレンジも自分でやっているし、いずれはミックスも自分でできるようになりたいと思っているので」
緒方龍一「15周年を経て、慶太がトータルでプロデュースできることがグループの最大の武器になったら無敵だなって思うんですよね。その一方で、よりクリエイティヴに対してシビアになる部分も出てくるとは思うんですけど」

——“Again”は前シングル“Backstage”の延長線上にあるトロピカル・ハウスど真ん中なアプローチですけど、“We Don't Need To Talk Anymore”はEDMの系譜にありながら、現行のインディーR&Bともリンクするようなストイックかつアトモスフェリックなサウンドスケープが印象的です。
慶太「そう、“We Don't Need To Talk Anymore”はめっちゃ音数が少ないんです。サビで落として後半に上げていく構成を念頭に置きつつ、ストイックなサウンドに仕上げようと思いました」
——歌詞はストレートに言うと、これ、不倫の歌ですよね(笑)。
慶太「そうなんですよ(笑)。最初はただ自分の気持ちが満たされない切なさを綴った歌詞だったんですけど、ディレクターから〈このサウンドならいままでにないw-inds.の世界観を出せるし、もっとセクシーな歌詞を書いてほしい〉という要望があって。それで刺激的な恋愛の歌詞にしようと思ったんです」
龍一「曲の構成も“We Don't Need To Talk Anymore”というフレーズの後のサビで歌詞がないという構成もジャストにハマっていて。そういう曲としてのストーリー性も楽しんでほしいですね」
涼平「今回のシングルは2曲とも大人の恋愛が描かれていて。自分たちの実年齢にもフィットしている世界観だなと思います。2016年は15周年ということもあって、ライヴでも過去の若々しい曲たちと向き合う機会が多かったんですけど、このシングルからまた新たなステージに向けて脱皮するような感覚がありますね」
——最後にこのシングルから始まる2017年の展望を聞かせてください。
慶太「ニュー・アルバムをリリースすることになると思うんですけど、“Boom Word Up”“Backstage”“We Don't Need To Talk Anymore”というシングルの流れを踏まえても、〈ダンス・ミュージック〉がひとつの大きなキーワードになると思いますね。まだまだ踊れるので、踊れるときにガッツリ踊っておこうかなと思ってます(笑)」
千葉涼平が選ぶ「パーティーで聴きたい」3枚



2016年は、個人的にハッピーな気分になる楽曲を聴いている機会が多かった印象があるので、パーティーをテーマにしてみました。パーティーと言ってもいろんな楽しみ方がありますが、家族や子どもたちが集まって幅広い世代で和気藹々と楽しみたい時、気兼ねない仲間たちと馬鹿騒ぎしたい時、恋人や意中の人と二人の世界に入りたい時などに聴きたい3枚です。実際はスタジオでのダンス中や車内などで聴く機会が多かったのですが、こんな時に聴きたいなというイメージが浮かびました。
橘慶太が選ぶ「印象的だった」3枚



個人的に2016年はまた流れが変わった年だったと思います。またダンス・ミュージックの流れがやってきたんだけど、全体的にチルなサウンドが多かったので、聴きやすくて好みの音ばかりでした。今回はそんななかで違う攻め方でカッコ良く印象的だった3枚を選出しました。
ブルーノ・マーズの『24K Magic』は、曲も歌もすべて最高でした。80sのブームが去りつつあるタイミングに孤軍奮闘でこのアルバムをリリースして結果を出す姿もカッコ良かったです。ウィークエンドの『Starboy』も懐かしさを感じるR&Bトラックが多く、全体でカッコ良かった。ダフト・パンクとのリード・ナンバーが、お互いの良さの交わった新しい感じがしてお気に入りです。フランセスの『Things I've Never Said』は、2017年のリリースなのですが、たまたまお店で流れていた“Borrowed Time”(2015年)という曲に度肝を抜かれて選出しました。とにかくその楽曲の音色、メロディー、構成など、すべてが好みだったので、いまは他のアルバム収録曲を楽しみにしています。
緒方龍一が選ぶ「まずこれ聴きたい!」と思う3枚



目一杯我慢した後のご褒美が特別な時間であるように、自分の好きな曲が聴けない状況から解放された瞬間、そしてなおかつそれが自分好みの環境下であればあるほど、爆音で〈まずこれ聴きたい!〉と思うような3枚です。
次の展開を窺わせるメモリアル・イヤーの逸品たち
野心的な試みと豊潤な成果を詰め込んだソウルフル&ファンキーな傑作『Blue Blood』をひとつのピークに、KEITAのソロ作『FRAGMENTS』も含め、w-inds.が自然体で追求する音楽的なスリルやカッコ良さ、ヴォーカル・スタイルやサウンド・デザインの先鋭的な魅力は、もはや大仰に説明する必要もなくなっている。デビュー・シングル“Forever Memories”のリリースから15周年の節目を祝し、両国国技館で敢行した記念ライヴでは歴代のシングル全曲を披露した3人だが(その勇姿はBD/DVDの「w-inds. 15th Anniversary Live」で確認されたし)、そんなメモリアル・イヤーならではの賑わいに囲まれた2016年にあっても、新曲リリースの部分で変わらず進行形の姿勢を見せつけてくれたのは頼もしい限りだった。
まず、5月に投下したシングルが“Boom Word Up”だ。ニュー・ジャック・スウィング感の導入も話題となった表題曲は、80年代のハネたNJS感とはまた異なる意匠を得て、非リアルタイム世代ならではのしなやかなダンス・チューンへ昇華。『Blue Blood』の延長線上にあるシックなライト・ファンク“FUNTIME”などのカップリングも粒揃いだった。一方、8月の“Backstage”では季節も睨んで隆盛のトロピカル・ハウスにアプローチ。チルな音色のトレンディーな意匠をスムースな歌世界と結び付けて咀嚼してみせている。
そうした流れを思えば、新年の幕開けを告げる“We Don't Need To Talk Anymore”が、メジャー・レイザー以降のモード変化に応じたチェインスモーカーズらとの同時代性をマイルドに備えつつ、独自性の豊かなダンス・トラックに仕上がったのも当然だろう。これらを軸に制作されていると思しきニュー・アルバムの到着が楽しみでならない。 *出嶌孝次
2016年にリリースされたw-inds.のシングル。
