巨大な敵はどこにいる? またも鋭利なキラー・チューンの束を携えた6人はいよいよ約束の場所へと辿り着く。今回は〈生みの親〉たちにたっぷり語ってもらったよ!
始動から2年強……とは思えないほど、その軌跡は濃厚! 〈楽器を持たないパンクバンド〉を謳ってのメジャー・デビューからまだ1年しか経っていないものの、3月のシングル“プロミスザスター”のヒットも手伝って、すでに堂々たる風格を身に纏ったBiSHの人気は際限なく拡大するばかりです。そして、7月22日に幕張メッセイベントホールでの〈BiSH NEVERMiND TOUR RELOADED FiNAL "REVOLUTiONS"〉という過去最大のワンマンを控える彼女たちから、今度は充実のミニ・アルバム『GiANT KiLLERS』が到着しました。5曲入りの同作には現編成の歌唱によるライヴ定番曲集『iNTRODUCiNG BiSH』も同梱されており、その2枚を聴けば大舞台に臨む6人の現在と過去が再認識できるというわけです。そこで今回はプロデューサー/マネージャーの渡辺淳之介(WACK代表)、サウンド・プロデューサーの松隈ケンタ(SCRAMBLES代表)というBiSHを創った名コンビに、短くも濃密な〈これまで〉と輝ける〈これから〉を語ってもらいました。
オルタナからメロコアへ
――BiSH結成時のサウンド的な狙いはどういうものだったんでしょうか。
松隈「最初からパンクだったっけ?」
渡辺「ややパンク気味だったんですけど、まずBiSを意識するのはやめようっていう話にはなっていて、どっちかと言うとオルタナでしたね。ギザギザの音にしましょうって話で、『Brand-new idol SHiT』の制作を始めました。ニルヴァーナとかスマッシング・パンプキンズ、ジョンスペ……昔ながらの好きだったもの、それこそeastern youthとか、そういう雰囲気のものをやりたいです、みたいな話はしました」
松隈「そうだ、言いよったね」
渡辺「あと、BiSのファースト『Brand-new idol Society』もそうでしたけど、おもちゃ箱っていうか、好き勝手に一枚作ったら、そこから方向性も決まるよね、ぐらいの感覚で」
松隈「最初だからいろんなジャンルに挑戦してみようっていう感じだったね。で、結局、俺の得意な感じがジョンスペじゃなかったから(笑)、メロコアが良いんじゃないかってなったのが『FAKE METAL JACKET』かな。そのなかで最初から一貫してたのは、BiSHはサウンドになるたけシンセを入れないようにしたことですね」
渡辺「そうっすね。“MONSTERS”と“DA DANCE!!”とかちょっと入れてるんですけど、その後はほぼ排除されてるんすよね」
松隈「いちばん初めに作った“BiSH -星が瞬く夜に-”も、デモの時点ではちょっとデジロックっぽかったのを最終的にはシンセを外したからね。“OTNK”のフィドルとティン・ホイッスルもシンセっぽいんですけど、ちゃんと本物の方に演奏してもらっていて」
渡辺「“OTNK”はもう完全に僕がエクリブリウムっていうヴァイキング・メタルのバンドの曲を気に入ってて、そういうアイリッシュ・メタルみたいな曲で叫ばせたい言葉を思いついちゃっただけですね(笑)」
――そういうリファレンスも共有して進めることが多いんですか?
松隈「昔から淳之介は、具体的に〈こういうサウンドが欲しい〉〈こういうアルバムにしたい〉っていうヴィジョンがあるんですよ。それか〈好きに作ってください〉の二択なんで、わかりやすいですね。あとは〈次にアルバムを出します〉〈ここまでこういう方向性です〉っていう先の先まで見せてくれるので、こちらも先のことを考えながら取り組めたり」
――先の画を見ながら作れるというか。
松隈「そうです、そうです。このへんで新メンバーが入るとか。まあ……脱退するとか(笑)。例えば『KiLLER BiSH』だったら僕が鬼バンドで帯同するツアーがあるとか、今回の『GiANT KiLLERS』なら幕張を控えているとか、ライヴを想定した作りができるのもデカいですね。本人たちのストーリーに合った曲が作りやすいというか」