デビュー45周年! コラボ・シリーズ、華やぎに溢れた第3弾!
120枚目のシングル《百年の抱擁》やCDボックスが発表されるなど、デビュー45周年を迎えた石川さゆりのお祭りが続いているが、真打ちともいえる作品が到着。名物コラボ・シリーズの最新作『X-CrossⅢ-』だ。多彩なアーティストとのジャンルの垣根を越えたコラボが展開する「X(クロス)」は、彼女の飽くことを知らぬ歌への情熱や止まらない好奇心などを伝えてくれる企画で、くるりの岸田繁や奥田民生が参加した『X-Cross-』、椎名林檎やマーティ・フリードマンが参加した『X-CrossⅡ-』(日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞)と、いずれも高い評価を受けている。そしてこの第3弾だが、ウキウキするような楽しさはいままでの中でピカイチかも。例えばニューオーリンズR&Bとドドンパが仲良く同居する《昨日にドドンパ》。ハリー細野の名曲《蝶々-San》とよく似た構造を持つこの曲、歌謡曲が元来有していた自由な折衷感覚を思い出させてくれるが、何よりさゆりさんのチャーミングで色っぽい歌声が最高だ。こちらの曲をプロデュースしたのは、旧知の間柄である矢野顕子(バックを務めるのはクリス・パーカーとウィル・リー)。さらに彼女は《ほめられた》も担当、こちらは《いいこ いいこ(GOOD GIRL)》に通じるアッコちゃん節炸裂のバラードである。さきほど名前を出した細野晴臣が手がけた楽曲が登場するのも嬉しい。彼のファンの間でいつ日の目を見るのかという声もあった《寝ても覚めてもブギウギ》は、往年の芸者シンガー、市丸あたりが似合いそうなチャンチキ・ブギウギで、これまた魅惑の化学反応と言えよう。ジャジーな《明日はかならず》やボサノヴァ・チックな《ワインを選んで》といった大江千里作品、オリエンタルな香り漂うT-BOLAN・森友嵐士による《京恋唄》など、ムーディーな曲が多いのも特徴かと(音源が聴けなかったレキシとのコラボが気になってしょうがない)。こういうのが聴きたかった! と快哉を叫びたくなる華やぎに溢れたアルバムだ。