現在新たなジャズシーンを作り出している若手の中でもファーストコールの面々による2ndEP。一聴して、かなりハイレベルな楽曲と演奏であるにもかかわらず、そんなことは全く感じさせないポップさがこのバンドの持ち味なんだと思う。それぞれの楽曲がひとクセふたクセあっても、それは表現すべきものと不可分の関係性があるが故、届けられた音楽には無理やりさも違和感もない。ポップであることと複雑・難解であることはトレードオフでも二律背反でも全くない。個々の高いセンスと演奏技術、リレーションが結晶化し、現代ポップスのひとつの在り方を世に示した傑作だと思う。日本もこういう音楽が普通にチャート入りして欲しいもんです。
〈ポップス〉を志向するテクニカルな俊英5人組バンドが放つ2枚目のEP。爽快なAORに着地させたナンバーを揃えた前作よりもプログレな作法が際立っており、先の読めないアンサンブルと小田朋美のエモーショナルな歌唱&詞世界がスリリングに展開されている。その一方で、後半にはメロウなバラード“エメラルド”とスロウ・ファンク“傀儡”の音数の少ないアプローチが待ち受けており、その動/静のコントラストが心地良い。