マウント・キンビー作品への客演を経て届いたセカンド・アルバム。かつて名乗っていたズー・キッドを連想させるタイトルだが、トム・ウェイツ直系のシャガレ声とデカダンな詞世界はさらに研ぎ澄まされており、ジャズにもトリップ・ホップにも転がる音楽性は現時点でのキャリアの集大成と言えそう。同じ南ロンドン出身のコスモ・パイク然り、いったいどんな環境で育ったら若くしてこんな楽曲が作れるんだ?

 


弱冠18歳でイギリス〈BBCサウンド・オブ・2013〉にノミネートされ、十代のうちにスターダムに上り詰めた天才、アーチー・マーシャルによる4年ぶりの新作。先ごろリリースされた盟友マウント・キンビーのアルバムにも参加、ジェイムズ・ブレイクやミカチューらとともに鮮烈なコラボレーションを果たした事も記憶に新しい。トム・ウェイツを彷彿とさせる独特のハスキー・ヴォイスはそのままに、新曲“Dum Surfer”では、マーク・スチュワートに接近する不穏なポスト・パンクを展開。〈テン年代のブルーズ〉ともいうべき、現代の若者の懊悩と孤独をデビュー作で描いてみせた彼の闇の奥は、ますますもって深みを増している。