2010年、ロッテルダムでのライヴ録音。ブリュッヘンが18世紀オーケストラを結成したのが1981年。その学究に裏打ちされながらも創造的精神漲る演奏は衝撃だった。この30年ぶりの再録音は壮大なスケールや激しい表現意欲はそのままに、全てを見渡す「ゆとり」が加わった。音符が「見える」ように演奏され、しかも全ての音が意味深く、豊かに、生き生きと鳴り響く。とくに《ジュピター》が素晴らしい。天地創造のような冒頭、巨人のため息のような第2楽章、天使舞う第3楽章、そして、すべてが調和し、天上の解放感に満ちた終楽章の感動! 巨匠の到達点を目の当たりにし、涙が溢れて止まらなかった。

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