日本フィル&サントリーホール
とっておきアフタヌーンVol.5 『歌舞伎×オーケストラ』

クラシックと歌舞伎、若き2人のカリスマの再タッグが実現!!

 今年創立60周年の日本フィルハーモニー交響楽団と、開館30周年のサントリーホールが共催する人気シリーズ「とっておきアフタヌーン」。夜に行われるクラシックコンサートには足を運びにくい方々が気軽に楽しめるよう、チケット料金のグループ割引&セット割引や、託児サービスなどが用意されていることも、人気の要因になっている。

 これまでに開催された4回の公演では、ミュージカル歌舞伎バレエなど、様々な分野からスターを招聘。名門・日本フィルとのコラボレーションにより、新たなクラシック音楽の楽しみ方を提案し続けてきた。その最新回となる「Vol.5」が8月24日に行われる。

 出演は、日本フィル正指揮者の山田和樹と、歌舞伎役者の尾上右近。昨年の第2回公演で大好評を博した2人の若きカリスマの再タッグが実現する。前回の共演では、圧倒的な躍動感とダイナミズムに溢れたストラヴィンスキーのバレエ《春の祭典》を披露。制作担当者によると、「お互いに妥協なく、尊重し合っていて、音楽と舞のどちらも後ろにいくということがなくて非常に面白かったです。もう一度どうしてもこのメンバーでということで再共演が実現しました」とのこと。さらに進化し、洗練されたステージが期待できそうだ。

 今回の公演では、前半と後半にそれぞれテーマを設定。

 前半は「踊り」がテーマで、レハールワルツ《金と銀》、ラヴェル《亡き王女のためのパヴァーヌ》&《ラ・ヴァルス》を演奏する。

 《金と銀》は、20世紀初頭にウィーンで開かれた舞踏会のために書かれたワルツで、ウインナワルツの定番のひとつ。曲名はこの舞踏会のテーマで、会場には金銀の装飾の飾りが豪華に施され、参加者も金銀に彩られた思い思いの衣装をまとっていたという。

 《亡き王女のためのパヴァーヌ》は、ラヴェルが学生時代に残した初期傑作。原曲はピアノ曲で、パヴァーヌは16~17世紀のヨーロッパの宮廷で流行した舞踏を意味している。曲名は、ルーヴル美術館を訪れた作曲者が、17世紀スペインの画家ベラスケス作のマルガリータ王女の肖像画からインスピレーションを得たことに由来(異説有り)。今回演奏されるのは、1910年にラヴェル自身の手で管弦楽用に編曲されたものだが、原曲の初演は前述の《金と銀》と同じ02年というのも興味深い。

 フランス語の「ワルツ」にあたる《ラ・ヴァルス》は、19世紀のウインナワルツへのオマージュ。こちらも原曲はピアノ曲だが、今回演奏される管弦楽版は“音の魔術師”と謳われたラヴェルの色彩豊かなオーケストレーションを存分に味わえる内容になっている。

 休憩を挟んだ後半は、「イタリア」をテーマにした3つの色彩豊かな傑作が並ぶ。まずは、ベルリオーズが自作オペラ《ベンヴェヌート・チェッリーニ》のメロディを基に書いた序曲《ローマの謝肉祭》で華々しく幕開け。その後には、「田舎の騎士道」を意味するマスカーニのオペラ《カヴァレリア・ルスティカーナ》の美しく静謐な間奏曲が続き、最後はレスピーギの「ローマ3部作」のひとつ、交響詩《ローマの松》で締め括るという流れだ。今回の演目は《ローマの松》をメインに企画され、この編成にオルガンが入ることから、同じくオルガンが含まれるマスカーニの間奏曲が選ばれたという。知性派の山田たちならではの好選曲と言えるだろう。

 そして今回、山田と尾上が共演するのが、《ラ・ヴァルス》と《ローマの松》。大編成のオーケストラの絢爛豪華な響きと、華麗な歌舞伎の舞による、一期一会の白熱したステージが繰り広げられるに違いない。また、前回に続き振付を手がける尾上菊之丞の手腕にも注目だ。

 西洋と日本の文化と伝統の垣根を軽やかに、そして鮮やかに越えた、歴史の新たな1ページ。その威容は、間もなく明らかになろうとしている…

日本フィル&サントリーホール〈とっておきアフタヌーン〉Vol.2の紹介映像
 

LIVE INFORMATION

日本フィル&サントリーホール
とっておきアフタヌーンVol.5 『歌舞伎×オーケストラ』

○8/24(水)12:20開場/13:00開演 
会場:サントリーホール
出演:尾上右近 山田和樹(指揮)日本フィルハーモニー交響楽団
振付:尾上菊之丞
曲目:レスピーギ:交響詩『ローマの松』/ラヴェル:ラ・ヴァルス 他
http://suntory.jp/HALL/

第683回東京定期演奏会〈秋季〉
○9/2(金)18:20開場/19:00開演
18:30~マエストロのプレトーク有!
○9/3(土)13:00開場/14:00開演 
13:10~マエストロのプレトーク有!
会場:サントリーホール
出演:山田和樹(指揮)清水華澄(MS)日本フィルハーモニー交響楽団
曲目:柴田南雄:コンソート・オブ・オーケストラ
R.シュトラウス:4つの最後の歌
エルガー:交響曲第1番
http://www.japanphil.or.jp/