究極の両者による競演記録 ラトルとベルリン・フィルの軌跡を3枚組で
ラトルとベルリン・フィルがいよいよこの5月に来日する。とりわけ日本でのベートーヴェン・ツィクルスは、カラヤンをはじめその時代のクラシック音楽のエポック・メイキング的役割を果たしてきた。何度も繰り返されてきたベートーヴェン演奏ではあるが、これから切り開いていく未来への提言が、ベートーヴェン・ツィクルスには明示されてきた。それは、ことベートーヴェンに限らず、クラシック音楽の未来の一端が垣間見れる貴重な機会でもある。その重要な節目がこの5月であり、注目する所以だと思う。彼らの音楽は、最先端なのだ。
そのラトルがベルリン・フィルの音楽監督として、現代で最高の演奏を披露することは間違いないだろう。最近の彼らの録音は、自主制作盤としてクオリティが高く、かつ拘ったパッケージで発売されていることで知られているが、かつては旧EMIレーベルが毎年多くの録音をリリースしてきた。ラトルらしい、ちょっと捻った曲が入っていたり、独墺音楽で伝統的な姿を見せてくれたりと、様々な意見があったにせよ、常に話題となっていたことは確かだ。史上稀に見るスーパー・オケとなったベルリン・フィルの新しいレパートリーも常に新鮮であり、オケの運営と合わせて、クラシック界の進化した姿も想像させてくれた。
この『ザ・ベスト』は、2002年のベルリン・フィル音楽監督就任コンサートの記録であるマーラーの交響曲第5番から始まった旧EMIレーベルへの最初の記念すべき録音から、ワーナー・クラシックスへの最後期のラフマニノフまで収録されたコンピアルバム。究極同士の最上の競演記録であり、両者の軌跡が詰まった、まさに特別な演奏の数々。ラトルの音楽監督退任まであと僅かであるが、心に刻みたい音が凝縮されたこの3枚組は、ひとつの記念碑として長く記憶に残っていくことだろう。
LIVE INFORMATION
TDK創立80周年スペシャル
TDKオーケストラコンサート2016
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演
※SOLD OUT
○5/11(水)~15(日)
会場:サントリーホール
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(管弦楽)
サイモン・ラトル(指揮)
イヴォナ・ソボトカ(ソプラノ) ※5/15
エヴァ・フォーゲル(メゾ・ソプラノ) ※5/15
クリスティアン・エルスナー(テノール) ※5/15
ドミートリ・イワシェンコ(バス) ※5/15
新国立劇場合唱団(合唱)<合唱指揮:三澤洋史> ※5/15
http://www.fujitv.co.jp/events/berlin-phil/index.html