2014年作『1989』でのポップ・シンガー宣言にはさほど驚かなかったけど、今回はド頭からサプライズの連続。引き続きマックス・マーティン&シェルバックとジャック・アントノフがプロデュースを分け合っているものの、全体のトーンは一転してダークに。いつだって明るく前向きだったテイラー・スウィフトが、笑顔を見せずに危険な女を演じているのです。エレクトロクラッシュ風のオケ上でカニエ・ウェストに反撃したり、ホープレスな愛にしがみつく自身の姿をドラムンベースやインダストリアルな音と重ねてみたり。うっすらレゲエやソカを敷いたビートに憂鬱そうな声が乗る瞬間などは、モロに最近のリアーナを連想させるもの。思えばリアーナが『Good Girl Gone Bad』で新しい自分に目覚めたのと同じように、テイラーにとって今作が大きな分岐点となりそう。さあ、三十路に向けての活路を示したチャレンジングな一枚に、どんな〈reputation(評判)〉が寄せられるかな?