4階へ向かうMaison book girlの意欲的なニュー・シングル!

 今年は春のアルバム『image』に続いて夏のシングル『412』を発表し、活動の舞台を着々と大きくしているMaison book girlが、年内最後の作品として届けてくれるのがニュー・シングルの『cotoeri』……これが問題作というか、また新たな実験の美しい成果となっているのです。

Maison book girl cotoeri 徳間ジャパン(2017)

 まず、リード曲の“言選り”は、プロデューサーのサクライケンタが過去6年で書いてきた歌詞のデータを〈cotoeri〉というAIに登録し、深層学習させることで新たな詞を作りだすという試み。もとより象徴的なワードの多いサクライだけに、AI作成の詞も違和感なく彼の世界を濃縮還元したもののように響きます。その箱型AIも登場するMVでは珍しく外光を浴びて映るメンバーの姿も印象的ですし、サウンド的にもいつもと拍子の違うダイナミックな聴き心地が楽しめるはず。また、力強いユニゾンと立ったビートの印象的な“十六歳”、コショージメグミ作のポエトリー・リーディング“雨の向こう側で”も、それぞれの輪郭をくっきりさせている印象です。

 12月28日にはZepp DiverCity TOKYOで過去最大規模のワンマン〈Solitude HOTEL 4F〉を開催する彼女たち。『cotoeri』から繋がる世界がどう表現されるのか、また一階上へ向かうブクガの今後に期待しましょう。