音色のヴィーナスが大集結! 未来へと続く名曲を歌う
billboard Classics シリーズのなかで、〈音楽が伝えるLOVE〉をテーマに出演者全員が女性アーティストというフェスティバルが9月24日に兵庫県立芸術文化センター 大ホールで行われた。7組の出演者のうち6組は、声という魅惑の楽器と音楽史に残るヒット曲を持つシンガー。もう1組は、名器ストラディバリウスを奏でるヴァイオリニストだ。演奏を務めるのは柳澤寿男が指揮する大阪交響楽団になる。
オープニングを飾ったのは八神純子。1978年のヒット曲“みずいろの雨”からスタートしたが、ドラマティックな展開の歌がオーケストラの演奏でスケールアップし、壮大なサウンドの波にまるで乗るかのように八神純子の伸びやかなヴォーカルが会場に響き渡る。その気持ち良さにコンサートへの期待感がさらに煽られ、客席全体の温度が高まる。トップバッターの役目をよくご存じなのだと思う。
次に登場したのは小柳ゆき。99年に“あなたのキスを数えましょう”でデビューすると、優れた歌唱力で高く評価された。このヒット曲など3曲を披露するが、いずれもオーケストラのアレンジが歌に合わせた伴奏レベルではなく、楽器を輝かせるための凝ったアレンジになっている。その演奏で歌う“あなたのキスを数えましょう”は、アレンジが意味するところを理解し、ひとつひとつの音を確実にキャッチし、絶唱していく。ゾクゾクする感動を覚えた。
このシリーズは、全員がオーケストラとの共演で歌うのが大きな特長だが、出演者のジャンルが多彩なのがまた魅力だ。前半最後の出演者は、ゴスペル合唱団を率いて登場した福原美穂。ゴスペルのソウルフルなコーラスが持つ開放感に自然と手拍子が巻き起こり、会場に一体感が広がる。また、後半の1番手はヴァイオリニストの川井郁子。「私はストラテで歌います」のMCどおりにヴァイオリンから彼女の歌が聴こえてくる。シンガーのなかでひとり異色の存在だが、表現者の競演という意味ではとても重要な出演者だとあらためて感じる。
そして、後半はそれぞれに一時代を築いたシンガーが続く。自然体が印象的な渡辺美里と、対照的に緊張ぎみの杏里。彼女達の“My Revolution”や“オリビアを聴きながら”といった大ヒット曲がノスタルジーを超えて、豪華に彩られていく。
トリを飾ったのはNOKKO。1曲ごとに心を整えながら、“人魚”、“COTTON TIME”、“フレンズ”をこの舞台で、オーケストラと新たに生み出す曲として作り上げていく。演奏に反応して体が動き、それがアーティスティックに映る。80年代のレベッカ人気は、社会現象に近いものがあったけれど、単なるブームではなかったことをリード・ヴォーカルで、作詞も手懸けたNOKKOのパフォーマンスで再認識させられる。
全員が女性、冒頭で八神純子が「楽屋は和気あいあいとしていますよ」なんて語ったが、世代も異なる多彩な顔ぶれが、それぞれの個性を2~3曲の濃縮された時間の中でフルに発揮する。それは真剣勝負の世界。反対にライバル意識むき出しでもいいだろう。競演の贅沢な醍醐味を堪能させてもらった。
Daiwa House presents billboard classics festival 2017 ―百花繚乱、ポップス&オーケストラ音楽祭誕生―
日本を代表するクラシック専用ホールを舞台に現代の音楽シーンを飾る“音色のヴィーナス”たちによる競演が実現。総勢200名余の豪華舞台には、八神純子 、渡辺美里、杏里、 NOKKO、 川井郁子、 小柳ゆき、 福原美穂らが登場。時代を超え、未来に輝く名曲たちの響きがオーケストラの華麗な旋律とともに降り注ぐ。
【出演】八神純子/渡辺美里/杏里/NOKKO/川井郁子/小柳ゆき/福原美穂
栁澤寿男(指揮)大阪交響楽団
○演奏曲目
八神純子(みずいろの雨/明日の風/Mrブルー)
小柳ゆき(remain~心の鍵~/あなたのキスを数えましょう/天球儀)
福原美穂(ライジング・ハート (クワイア) /明日に掛ける橋 (クワイア) /Thank you (クワイア))
川井郁子(リベルタンゴ/恋のアランフェス~レッド・ヴァイオリン~)
渡辺美里(10years/My Revolution-第二章-/サマータイムブルース)
杏里(オリビアを聴きながら/悲しみがとまらない/LOVERS ON VENUS)
NOKKO(人魚/COTTON TIME/フレンズ)
ビルボードクラシックスフェスティバル2018 開催決定!
○ 2018年3月10日(土)
○パシフィコ横浜 国立大ホール
豪華アーティスト達とオーケストラの夢の共演が実現する。2018年1月、詳細発表!
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