世界の子供達が夢を持てるように
開演前の会場は、小さな子供の話し声や泣き声が聞こえて、いつもとは異なる雰囲気だ。そんな未就学児も集まる、RENAISSANCE CLASSICS主催第3回ゴールドリボン・チャリティ・コンサートは、6月1日に昭和女子大学人見記念講堂で行われた。
ゴールド・リボンは、小児がん患者および関係者を支援するための公益財団法人。チャリティ・コンサートは、2022年から始まって今回で3回目となるが、会場で募金への呼びかけをすることで、コンサート自体は無料となっている。それもあってか、前述の子供から高齢者まで幅広い観客が客席を埋めていた。
開演前の様子に驚きつつ、暗転からヴァイオリニストの川井郁子と弦楽アンサンブルThe Premium Quintetによる演奏が始まると、また会場の雰囲気が大きく変わった。ヨハン・シュトラウスのワルツ“春の声”にまるで夢の舞踏会のように一気に華やぎ、同時に子供達の声がほとんど響かなくなった。
「クラシックのコンサートとは異なり、チャリティ・コンサートにはさまざまなお客様がいらっしゃるので、バラエティに富んだプログラムを考えました」と、終演後にご本人が話してくれたが、その言葉どおり第一部は、“G線上のアリア”、“アヴェ・マリア”、“チャルダッシュ”といったクラシック・ファンじゃなくても知っていて、生で聴いてみたいと思える名曲や、ミュージカルの名曲“踊り明かそう”を軽快に演奏する。
そのなかで異色だったのが映画「ジョーズ」のテーマ曲だ。映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズが人食いサメが襲ってくる恐怖を2音で表現した名曲だけれど、その2音をヴァイオリンでどう表現するのか。聴く前は懐疑的だったけれど、ヴィオリンの弦で重々しくもキレのいい美しい2音を奏でる。こうなるのかと心躍る演奏だったが、この曲も普段からプログラムに入れているそうだ。