KREVAが初のフルオーケストラコンサートに挑む――その一報を聞いた時どんなコンサートになるのか全く想像がつかなった。しかしそれが〈billboard classics「KREVA Premium Orchestra Concert」~produced by 武部聡志〉シリーズの第3弾と聞き、過去2回そのシリーズ公演を観ている筆者は、想像を超える感動に包まれた経験があるので、俄然楽しみになった。日本を代表する音楽プロデューサー・武部聡志、若きマエストロ・岩城直也と彼が率いるNaoya Iwaki Pops Orchestra(NIPO)が、HIP HOP=KREVAにどんな魔法をかけ、魅力的なセッションを見せてくれるのか――12月18日に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール、24日に東京文化会館大ホールで行なわれるこの画期的なコンサートについてKREVAにインタヴューした。昨年デビュー20周年を迎え、新たな気持ちで次のフェーズへと歩み始めたKREVAのこのステージで〈企んでいること〉、そして現在地まで語ってもらった。また、後半では岩城直也のインタビューも紹介する。指揮・編曲者の立場から、KREVAの印象や公演に向けた意気込みを聞いた。
――以前からフルオーケストラをバックにしたコンサートをやってみたいという思いはあったのでしょうか?
KREVA「かなり前に海外からフルオーケストラライヴのお誘いがあって、でもコロナや色々な事情で実現には至りませんでした。それ以来心の奥では〈いつかやる時がくるかも〉と思っていたのかもしれない。ようやくタイミングが巡ってきました」
――今回武部聡志さんからオファーが来た時は〈即答〉ですか?
KREVA「もちろん! 〈めちゃくちゃ楽しみです〉って素直に言えました。それは武部さんとはそんなに長いお付き合いではないけど、最初にご一緒したときに〈君の曲にはJ-POPの血が流れてる〉と言ってくださったから。俺自身HIP HOPを軸にしつつも日本のポップスを聴いて育った世代で、そこにある切ないメロディやロマンティックな感じをどうHIP HOPに落とし込むかをテーマに、ずっとやってきました。武部さんはそれをちゃんと汲み取ってくれました」
――指揮・アレンジを手掛ける岩城直也さんはどんな印象ですか?
KREVA「若くて本当に才能がある音楽家としてリスペクトしています。彼はエレクトーンから音楽を始めて、色々な音楽を経てクラシックを勉強したようなので、その幅広い音楽性と感性、彼が率いる若い奏者が揃ったNIPOの緻密で瑞々しくて、でも重厚さもある音がどう融合するか、ワクワクしています」
――HIP HOPとフルオーケストラがどう響き合うのか、なかなか想像ができないステージです。
KREVA「HIP HOPは〈吸収する音楽〉。ロックでもポップスでも、何でも取り込める懐の深さがある。誰かの作った音や声、環境音、リズム、何でも素材にできる音楽です。オーケストラの生の響きもその延長線上にある。そういう意味で自分の曲の真ん中にあるのはやっぱり言葉。オーケストラの音にラップが乗った時に、どう感情がぶつかるのか。それが今回一番楽しみなところ。ジャンルを超えたコラボって日本においては実際にはまだまだ少ないと思う。その新しい一歩になるはず」