ここには上機嫌なベートーヴェンがいる! ベートーヴェンのピアノ協奏曲をググっても、第2番と第6番(ヴァイオリン協奏曲からの作曲者自身による編曲)は検索候補の最下位争いをするほど一般的には知られていないが、ともに素晴らしい魅力作であることをこの1枚は示している。二つの作品の優美で愉悦的な曲調を菊池洋子は珠玉のタッチと軽やかなリズムで生命力豊かに演じ、山下一史指揮の大阪交響楽団も持ち前の豊かなヨーロピアン・サウンドで味わい深く包み込んでいる。第2番のカデンツァを普通使われる作曲者作ではなく、往年のポーランドの名人、フリードマンの華麗な作を使っているのも愉しい。