高見香那「2018年もはじまってまだ1か月だけど、すでにニュースが盛り沢山やね」

天野龍太郎「(なんで関西弁なんだろう……)お茶の間レヴェルの話題になっていたのは、宇多田ヒカルさんのプロデュースによる小袋成彬さんのソロ・デビューでしたね。“Lonely One”は最高でした。他にも新曲がたくさん。海外ではケンドリック・ラマーが手掛けたマーベル映画のサントラ『Black Panther:The Album』から数曲、ジャスティン・ティンバーレイク、ブルーノ・マーズが話題のカーディ・Bを迎えたリミックス、あとドレイクのサプライズ・リリースなんかもありました。それ以外にもデヴィッド・バーン、ジュリアン・カサブランカス率いるヴォイズ、スーパーオーガニズム、タイタス・アンドロニカスなど新旧のロック勢も」

田中亮太「ヨ・ラ・テンゴやジャック・ホワイトといった久しぶりの人たちも動きだしましたね。特にジャックはかなり攻めた内容になってそうで期待! あと、ECDやマーク・E・スミスの悲しいニュースが届いて……」

天野「昨年末には遠藤賢司さんが亡くなっていますし、悲しいことばっかりです。小室哲哉さんの引退表明もありましたし。でも、サマーソニックへのチャンス・ザ・ラッパーの出演が決まって、それはマジで最高です!」

田中「サマソニにはレックス・オレンジ・カウンティー(Rex Orange County)とノックス・フォーチュン(Knox Fortune)も出ますよ! アツい!!」

高見「『Culture II』が出たミーゴスの緊急来日の発表もアガりましたね」

酒井優考「キルト・オブ……キルト・オブ……ブツブツ……」

高見「先日はグラミー賞の発表というビッグなトピックもありましたね。ケンドリック・ラマーのパフォーマンスが鳥肌モノで。一方で〈#MeToo〉や、女性の受章者が少なかったことで反発の声があがったりなども」

天野「受賞はブルーノ・マーズが独占しましたね。個人的にはナショナルとウォー・オン・ドラッグスの受賞がうれしかったです。ロックは死なず」

田中「天野くん、年始からことあるごとに〈ロックは死んでない〉的なことを隣の机で口にしてるけど、いったい何があったんだろう……」

酒井「キルト・オブ……ントラ……KILT OF MANTRA……ブツブツブツ……」

天野「酒井さん、さっきから何をブツブツ言ってるんですか?」

酒井「KILT OF MANTRA……ブツブツブツ……」

高見「〈キルトオブマントラ〉? 何か新興宗教にでも入信したのかな……」

酒井「ハッ! すみません!! 1月4日にあった新体制赤い公園のワンマン・ライヴが圧倒的すぎて、ラストにやった“KILT OF MANTRA”という曲の意味をずーーっと考えてるだけの1か月でした。いや、それ以外の曲も全部新曲ですごい良くて。だから今月は他に何もチェックしていないんです……KILT OF MANTRA……マントラのキルト服……KILT OF MANTRA……なんで〈QUILT〉じゃなくて〈KILT〉なんだ……ブツブツブツ」

田中「この人はホントに……。自分は年末年始からはU.S.ガールズをよく聴いてましたねー。2月に新作『In  A Poem Unlimited』をリリースするんですが、いま公開されている3曲がどれも最高なんですよ。60年代ガールズ・ポップ的なサウンドに、現代的な倦怠を重ねていて、エールやライカのファンにもハマると思います。あと、レディオ・デプトの新曲“Your True Nameがめちゃくちゃ良くて! 彼ららしい清涼感に溢れたポップ・チューンなんだけど、もう〈君の本当の名前〉っていうタイトルからして甘酸っぱいじゃないですか」

高見「わあー、この曲↑めちゃくちゃ美しいですね……最近涙もろくて、すぐ涙が」

天野「僕がずっと聴いていたのはカー・シート・ヘッドレストです。7年前に自主制作でリリースした『Twin Fantasy』の再録版を2月に出すのですが、13分ある“Beach Life-In-Death”が最高。やはり、ロックは死なず。あとはカミラ・カベロのデビュー作。ラテン・ポップをうまく消化したサウンドで、大ヒットした“Havana”はもちろんのこと、すっごくイマドキのポップス然としたメロディーの“Never Be The Same”が良い曲ですね」

田中「“Never Be The Same”、最高〜!」

高見「私は、シャッグス(The Shaggs)と聞き間違えそうなシャックス(The Shacks)という男女デュオの“Follow Me”がお気に入りでした。ややキルスティン・ダンスト似のベリーショートのヴォーカルの子がめちゃくちゃ可愛くて。60sなレトロでローファイなサウンドは7インチで聴くのがぴったりです」

田中「シャックスのこの曲、僕もグッときてました。iPodのCMで話題になってたキンクスのカヴァーも◎でしたけど、彼女たちのオリジナルはいっそう素敵やん」

高見「素敵ですよねえ。キンクスをチョイスするところも好き。あと、記事を作らせてもらったポニーのヒサミツさんの新作もとにかくいいアルバムで、愛聴しています。詳しい内容については記事を読んでください!

酒井「へー、僕が赤い公園研究してる間にみなさんいろいろ聴いてたんですね。それじゃあ、今月公開した記事をさくっと振り返って、僕はまた研究に戻りますね」

酒井「自分がインタヴューしたshabelはメディア初登場ということで、どんな方々なのか楽しみ&不安だったのですが、メンバーそれぞれボケ&ツッコミ&バンドのブレーンという三者三様の役割があるバンドで、話を聞いててものすごく面白かったです。なのに音はカッコいいですから! 未読の方はぜひインタヴューを読んでみてください。じゃ!!」

天野「Taiko Super Kicks × yumbo × mei eharaさんによる鼎談記事と折坂悠太さんのインタヴューは充実した内容になりました。とはいえ、この2記事ではいろいろなことがあって、めちゃくちゃ苦労しましたが……」

高見「何があったか知らないけど、美味しいもんでもお食べ」

天野「来日ツアーも控えている話題のバンド、スタークローラーのコラムもなかなかのヒット。フランツ・フェルディナンドとポストパンク・リヴァイヴァルの振り返り記事もじわじわと伸びていっています」 

田中「スタークローラーは世間的にも盛り上がってるっぽいね。あわせて読んでほしいのが、先日公開のシェイムのコラム記事。こちらも熱量高めで〈南ロンドンで何かが起きとるんやな〉と伝わるものになったかなと。2018年の初っ端はとりあえずこの2組は押さえておいてほしいですね!」

高見「シェイムはこの記事をきっかけにハマってます。顔つきもサウンドも気合い入った若者たち!」

天野「やっぱりロックは死んでないんですね!」

高見「そして、ポニーさん×岡田拓郎さんのアメリカーナ対談も充実した内容です。ポニーさんが〈対談後二人で鳥貴族で飲んだ結論は「このあと対談したかったな」でしたが〉とツイートされていたけど(笑)。またお2人のお話聞きたいです!」

天野「〈ポニーちゃんにはボン・イヴェールをカヴァーしてほしい〉っていう発言に、岡田くんの意地悪なところが表れていました(笑)」

高見「あとThe Floorという札幌のバンドの記事も。同郷なので応援しています」

田中「自分は平賀さち枝とホムカミの新EP『カントリーロード/ヴィレッジ・ファーマシー』に合わせたインタヴュー記事が思い入れ深いな。まさか、平賀さんが終盤に泣くとは思わなかったし、エモい内容になってます。あと、PELICAN FANCLUBにミニ・アルバム3作を振り返ってもらった記事も、彼らの周知されてないルーツなどがまとまったものになったので、J-Rockリスナー以外にもアクセスしてほしい!」

天野「〈J-Rockリスナー〉? やっぱりロックは死んでなかったんですね!!」

高見「結論・死んでない!」

天野「あっ、忘れていましたけど、4月と6月にMikiki編集部主催のイヴェントが復活しますので、そちらも近日告知できるかと思います! よろしくお願いします!!」