平賀さち枝とHomecomingsの2組で不定期に活動するコラボ・バンド、〈平賀さち枝とホームカミングス〉がこの名義での2作目となるEP『カントリーロード/ヴィレッジ・ファーマシー』をリリースした。〈名曲〉と評された前シングル“白い光の朝に”から早くも3年と4か月、その歳月においてHomecomingsはフル・アルバム2作のリリースを含む順調な活動を重ね、単独での音源を長らく発表できずにいた平賀さち枝も、昨年ついに新作『まっしろな気持ちで会いに行くだけ』を完成させた。つまり、それぞれの歩みが軌道に乗っているなかでの再タッグであり、実際このEP――ウキウキとした疾走感に溢れる“カントリーロード”やHomecomingsが日本語で手掛けた堂々たるロック・アンセム“ヴィレッジ・ファーマシー”を筆頭とした5曲には、表現者として成熟した両者がふたたび力を添え合う姿が収められている……。
と、ここまで書いてきた前置きのもと、このインタヴューに臨んだのだが、話を訊くと実は“カントリーロード”を含む数曲は、すでに数年前に録音されていたという。では、なぜリリースまでに短くない期間を要したのか? そして、昨年には〈フジロック〉へと本名義での出演を果たすなど、各自の活動と並行しての〈平賀さち枝とホームカミングス〉は、両者にとってどんな意味を持った場所になっているのか? 平賀さち枝、Homecomingsの畳野彩加(ヴォーカル/ギター)、福富優樹※(ギター)へのインタヴューは、話者の1人が感極まったあまり涙を見せるなど、エモーショナルな時間となった。
※福富はSkypeでの参加
会う度にそのままでいてくれているのが嬉しかった
――最新作『まっしろな気持ちで会いに行くだけ』についてインタヴューした際に、平賀さんは〈単独音源がなかなか作れなかった時期は、Homecomingsとの活動に救われていた〉とおっしゃっていましたね。
平賀さち枝「それまでのレーベルを抜けて活動が止まっていた時期に、Homecomingsとの出会いがあって、そこで一緒にライヴをしたりCDを作ったりしたからこそ、音楽活動を続けることができたと思っています。だから、ホムカミの存在には本当に感謝していて」
畳野彩加(Homecomings)「ホムカミにとっても、さっちゃんとの活動があってすごくありがたいと感じているんです。日本語だったり2人で歌っていたり、Homecomingsではできないことをやれているから。最初はここまでうまくいって、こんなに長く活動できるとは思っていなかったな」
平賀「うん、まさか2枚出せるとは思わなかった」
――“白い光の朝に”から3年4か月、それぞれの活動をどのように見ていました?
平賀「2014年のときは、〈私がHomecomingsを紹介したい〉という気持ちでいたんですけど、“白い光の朝に”を出したあと、私がウジウジしてちゃんと活動できないなかでも、ホムカミはどんどんCDを出してライヴもやっていて、〈すごいなぁ、いいなぁ〉みたいな気持ちでした。バンドとして変化もしてるけど、誠実で真面目な取り組み方というのは、ずっと変わらずだと思う。〈私も一緒に切磋琢磨したいな〉となれたし、現在はもともとホムカミが好きで、それから平賀さんのことを知ってライヴに来ました、というお客さんがいっぱいいるんですよ」
畳野「さっちゃんから見ると、うちらはいろいろライヴもしていたしリリースもあったし、わかりやすく成長とかが見えていたと思うんですけど、私的には、さっちゃんはいい意味で変わらない、変わらずに良い曲を作り続けている、という感じでした。ちょこちょこ会えていたし、その度にそのままでいてくれているのが嬉しかった」
福富優樹(Homecomings)「だから、平賀さんのお客さんのほうが心配やったかもしれませんね。僕らは一緒にライヴをしたり、“カントリーロード”を作ったり、定期的に動けていた。実は“カントリーロード”は、“白い光の朝に”の1年後くらいに録音までしてたんですよ。そこから出し時を探しつつ、僕らも〈いつ出すんやろな?〉と気にしつつ、今に至ったという(笑)」
――そんな前に録っていたんですね!
福富「去年の今頃にも、そろそろリリースするかという話があったんです。(Homecomingsの最新EP)『SYMPHONY』の前に出すという案もあって」
――2組としては、いつ出てもいいという感じだったんですか?
畳野「うん、別に」
福富「僕は“カントリーロード”をめちゃくちゃ良い曲やと思ったし、絶対に売れる気もしたんで、〈ここまで出さないんやったら映画の主題歌とかにならない限りは、出さなくてもいいんじゃないですか?〉くらいのことは、言ってましたけどね(笑)」