一昨年の前作『Following My Intuition』が初作『Born To Do It』(2000年)以来16年ぶりに全英No.1に輝き、見事に復権したクレイグ。ジョナス・ブルーによるポップな“Heartline”、バスティルとの“I Know You”を経ての新作は、そんな前作をも余裕で凌ぐ、〈らしさ〉満開の内容になった。本人も初作を連想したそうだが、確かに軽めのハウスやレゲエ・フュージョン、アフロ・ポップなど、現行UKの折衷的なトレンドは往年の滑らかな軟体MC歌唱に合うパーカッシヴなものになっているわけで、そうなると必然的に往時を想起させる局面も多くなるのだろう。そんな巡り合わせの運に加え、盟友フレイザーT・スミスが久々に多くの楽曲を手掛けたのも好作用。ゴールドリンクやAJトレイシーの客演も活かす快作だ。