ぶっとい葉巻を咥えてこちらを見据える迫力のジャケットもキマったシェウン・クティのニュー・アルバム。フェラ・クティの末っ子としてアフロビート道を継承しているシェウンはいまや押しも押されぬキング。そういった自信はジャケのみならず本編にも漲っており、アツいグルーヴにクールなエッセンスが埋め込まれていて今回も間違いない。プロデュースは前作に続いてロバート・グラスパーが担当。目玉はレジェンドのカルロス・サンタナを招いた“Black Times”で、ミディアム・ファンクにねっとり絡んで咽び泣くカルロスのギターも最高だ。シェウンと女性コーラスの掛け合いで盛り上がる“Black Man Lighter”もカッコ良い。まさに脂の乗り切った内容で、まだしばらくはキングの座も安泰でしょう。
この10,000mを笑顔で全速完走してしまうよな超強靭なグルーヴ、シェウン以外誰が生み出せるだろう! 父フェラ・クティのサウンドとプロテスト性を最もストレートに継承した王道アフロ・ビートは冒頭から快走をみせM-2のサンタナによるネバドロなロック熱放射しまくり8分間ぶっ通しのインプロ・ギターですでに汗だく。中盤クールダウンするもラスト2曲のロングスパート凄まじく、M-9のロウなサックスの印象的フレーズと4つ打ちイントロはムーンフーチを想わせ鮮烈。そして盟友グラスパー仕事も冴え渡り、各楽器の音を明確に聴かせることで的確に彼らのサウンド・イメージを音像化している。