ロマンティックな〈青〉が軽快に花開く春の訪れ

 新たな時代の幕開けを告げるささやかなファンファーレとなった“Climax Night”から4年。山下達郎やサニーデイ・サービスらの影響を感じさせるファンキーでロマンティックなポップスは、ceroや一十三十一らの登場により日本のインディー・シーンに改めての波が訪れていた〈シティー・ポップ〉の文脈を拡張。彼らはその潮流のど真ん中に位置するバンドとなった。初アルバム『PARAISO』(2014年)の発表後はメンバーの脱退などもあったが、新体制で作り上げた傑作『WAVES』(2017年)を経て、サードEP『SPRING CAVE e.p.』でいよいよメジャーへ進出する。

Yogee New Waves SPRING CAVE e.p. Colourful(2018)

 フロントマンの角舘健吾がナレーションを務めるTV番組のディレクターからのオファーにより、〈前へ向かってがんばっている女性へ普段言えないエールを贈る〉というテーマで制作されたリード曲“Bluemin' Days”は、〈花束をあげよう〉と歌う軽快なナンバー。もちろん、ただアップリフティングなだけではなく、〈Bloom〉と〈Blue〉をかけたタイトルからして内省的な側面もあり、中盤のサイケデリックなパートがそんな心情を表しているのが〈らしい〉ところ。ギターのカッティングが冴える“Boyish”や、メロウなフィーリングの“PRISM HEART”も良曲だし、ラッパーの唾奇とのコラボ作『Jasmine』(2017年)が話題を呼んだトラックメイカーのSweet Williamによる“Ride on Wave”のスウィート・ソウルなリミックスもいい。また、簡素なリズム・トラックとギターのみで〈Sinking time ver.〉と名付けられた“Summer of Love”は、今後の発展が非常に楽しみだ。