デビュー20周年! ニュー・アルバム&ベスト・アルバム、旧譜11タイトル再発売も
タンゴ演奏家の両親の元に育ち、10代の時からバンドネオンを演奏していた小松亮太。メジャーデビューは1998年、この夏で20周年目を迎える。おりしも2018年は、アルゼンチンと日本の国交が樹立されて120年目にあたる。2003年にアルゼンチン音楽家組合(AADI)とブエノスアイレス市音楽文化管理局から表彰された小松亮太にとっては大切な節目。記念リリースアルバムは2タイトル。
『ピアソラ:ブエノスアイレスの四季 with イ・ムジチ合奏団』は2017年7月、イタリアのイ・ムジチ合奏団と共演したときのライブ・アルバムだ。「イ・ムジチ合奏団のメンバーは誰がリーダーとか意識しないんです。ミュージシャン同志のヒエラルキーもない。共演者の国籍にもこだわらない。とにかく合わせるしかないんです!」。ピアソラ“ブエノスアイレスの四季”は、〈夏〉から〈秋〉〈冬〉〈春〉を一気に合奏。“リベルタンゴ”は自身によるアレンジ。カルロス・ガルデルの《首の差で》をはさみ、小松オリジナル曲“夢幻鉄道”は濃厚に。ラストはピアソラの《オブリヴィオン》で着地。見事な融合だ。
もう一枚は、最新ベスト盤。「20年を振り返り、名刺になるようなベスト盤として選曲しました」。“リベルタンゴ”にはじまり、タンゴからポピュラー系まで18曲。オリジナル曲“風の詩~THE 世界遺産”も堂々と。“ラ・クンパルシータ”、いにしえのドイツタンゴ“碧空”は世代を越えて心に沁みる。豪華な共演者も特筆すべき点だ。ピアソラの元夫人でもあった歌手アメリータ・バルタールとの来日ライブ演奏曲“フーガと神秘”“受胎告知のミロンガ”は圧巻である。共演時はピアソラの秘話も聴けたらしい。歌い手を鼓舞し、心をほぐすバンドネオニストの魅力。坂本美雨との“風の谷のナウシカ”の浮遊感。チャーリー・コーセイの“下弦の月”はワイルドに。大貫妙子“突然の贈りもの”の繊細な間合いの妙。歌とバンドネオンはコラボレーションの多様性を再確認させる。
初期アルバム11タイトルのリイシュー盤は、98年から2008年までの作品だ。「自分の納得したものしか出さないと決めています。誠実に」。自分にきびしい。
妻はタンゴ・ヴァイオリニスト、子どもたちはギター派。「バンドネオンはマイナーかなぁ」とマエストロは謙虚だが、弟子も着実に活躍中だ。教える時はマンツーマン。基礎練習は徹底的に。目標値は高い。
「タンゴの市民権はジャズに比べたらまだまだ。ラジオでももっと流れてほしい。ここにいけばタンゴがある! そんな場がもっと増えてほしいですね」
LIVE INFO
小松亮太 デビュー20周年記念コンサート
○12/1(土)東京オペラシティ コンサートホール
○12/3(月)ビルボードライブ大阪
○12/4(火)名古屋ブルーノート
その他デビュー20周年公演
○10/13(土)長野・八ヶ岳高原音楽堂
○10/25(木)北海道・道新ホール