インタビュー

ジェシー・ハリス『アクアレル』 マルセロ・カメーロも参加! 初のポルトガル、リスボンでのレコーディング

©Becky Siegel

大好きなブラジル人アーティスト、マルセロ・カメーロも参加、初のポルトガル、リスボンでのレコーディング!

 ジェシー・ハリスの新作『アクアレル』の一部は、初めてポルトガルのリスボンで録音されている。その場所は、元ロス・エルマーノスのブラジル人ミュージシャン、マルセロ・カメーロがリスボンに所有しているスタジオで、しかも一曲目の《Rolling By》にはマルセロがヴォーカルで参加している。ジェシーがリオデジャネイロで一部を録音した『Sub Rosa』(2012年)のリリースに合わせて来日したとき、マルセロの才能を讃え合ったことをよく覚えている。ジェシーも僕も、彼のセカンド・アルバム『Toque Dela』(2011年)が大好きだったからだ。

JESSE HARRIS Aquarelle Sony Music Japan International(SMJI)(2018)

 「かなり前のことだけど、リオに滞在していたとき、ダヂの次男でシンガー・ソングライターのアンドレ・カルヴァーリョが、マルセロのライヴに連れて行ってくれた。僕はそのときに初めて彼の音楽に出会ったんだけど、すぐさま魅了された。特にメロディの豊かさに惚れ込んでしまった。で、翌日に『Toquie Dela』を購入し、聴きまくった。マルセロと初めて会話をしたのは、5~6年前のこと。僕がニューヨークのザ・スタンダード・ホテルでライヴをやったときの、もう一組の出演者がマルセロの奥さんのマルー・マガリャエスだったので、彼が観に来ていたんだ。そのときに僕は、どれほど彼の音楽が好きかということを熱く語り、連絡先を交換し、その後はリオで何度か会ったりしていた。ただし、今回マルセロが参加してくれたのは半ば偶然で、少しだけ時間を割いてもらえることになった。で、さほど手間を取らないだろうと思って、《Rolling By》を選曲したんだけど、彼は10分ほどで歌入れを終えてスタジオを後にした。コーラスのパートを歌っているだけだからね(笑)。でも、僕たちとしては、たいへんありがたかった」

 『アクアレル』は、ことさらブラジルやポルトガルの音楽の影響が色濃いアルバムというわけではなく、この点は、『Sub Rosa』と共通している。

 「アルバム作りのアプローチはこれまでと同じ。基本的には一発録りだし、レコーディングのプロセス自体も変わっていない」

 ただし、この新作には、最近リオからリスボンに移住してきたヒカルド・ヂアス・ゴメスも参加している。カエターノ・ヴェローゾのバンダ・セーの一員でもあったキーボード奏者だ。ヒカルドが演奏している《Grapes Grow Sweeter in the Sun》のキーボード・サウンドは、70年代のマルコス・ヴァーリ、最近だと、カシンやドメニコ・ランセロッチなどリオの新世代アーティストの作品に通じている。また、《Grapes Grow Sweeter in the Sun》と同じく、ペトラ・ヘイデンのヴォーカルがフィーチャーされた《Eyes of Fire》のオーケストレーションの編曲は後期ビートルズ風という点で、『Toque Dela』と繋がっていると思う。

 「その指摘は鋭い。ヒカルドは、カシンやドメニコと何度か共演したことがあるし、たしかに最近のリオの音楽と繋がっていると思う。また、《Eyes of Fire》のアレンジに関しては、僕自身は意識していなかったけど、『Toque Dela』は頭の中のどこかに刷り込まれているかもしれないから、自然にビートルズ風であり、なおかつあのアルバムのような感じになったんじゃないかな」

 新作には、オルタナティヴなアメリカーナ系の歌姫ヴァレリー・ジューン、そしてソフィア・ブルースという女性も参加している。

 「ソフィアは、主にNYのパフォーミング・アートの世界で活動していて、ポップ・シンガーというよりインプロヴァイザーと言った方がいいと思う。彼女は、デモを作っている段階からスタジオに何度か遊びに来てくれていたんだけど、ある日、《Never Say Goodbye》を聴かせたら、ぜひ歌わせて欲しいと頼んできた。というのも、彼女はユマ・スマックやレス・バクスターの大ファン。だからこのエキゾチカ風の曲がピンときたらしくて、結果、僕とのデュエットのような形になったんだ」

 


ジェシー・ハリス (Jesse Harris)
1969年ニューヨーク生まれ。レベッカ・マーティンとのユニット“ワンス・ブルー”等を経て'99年からソロ活動を開始。ノラ・ジョーンズに提供した《ドント・ノー・ホワイ》でグラミー賞の最優秀楽曲賞を受賞。モダン・アメリカーナの最重要人物にして2000年代N.Y.を代表するシンガー・ソングライター。

 


LIVE INFORMATION

ジェシー・ハリス 2018年来日公演@ブルーノート東京
○12/18(火)&19(水) [1st]18:30開演/[2nd]21:00開演
出演:ジェシー・ハリス
ジェレミー・ガスティン(g,vo)
ウィル・グレーフェ(b)
リカルド・ディアス・ゴメス(ds)
会場:ブルーノート東京

www.bluenote.co.jp/jp/artists/jesse-harris/

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