進行方向別通行区分の田中率いるユニットが、昨年突如バンド編成になり『進行』『方向』『別通』という3作を経てリリースした4作目(ユニットとしては14作目? 誰かWikipedia作ってほしい)。この短期間でこれだけドバドバ創作欲求が溢れ出るのは純粋にスゴイし、今作においても〈この歌詞元ネタなんだっけ〉感が爆発。例えば“面影スピルバーグ”の〈どうなっているの? この星は〉というフレーズの元ネタが「ドレミファ・どーなっつ!」だとわかった時の快感と膝カックン具合は、他のアーティストでは決して味わえないものだ(違ったらごめんなさい)。
ヴォーカルはこれまで以上に田中よりあゆ巫女を押し出し、高野京介のギターは80~90年代のJ-PopやTV音楽、あるいは元メンバーでもある真部脩一の風味を多分に含んで変幻自在。しかしどれだけウワモノが遊んでいても、どし丸のベースとさと子のドラムスは堅実で、相変わらず謎のバランスを保っている。直近のライヴでは〈この編成でやるのは最後〉などという、どこまで本当か嘘かわからないMCも飛び出したが、はたしてこのバンドはどこへ行くのだろうか? そしてタイトルの残る〈行〉の字はどこへ?