Mikiki編集部のスタッフ4名が〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は毎週火曜(歌謡)日、新着楽曲を軸にマイブームな音楽を紹介していきます。紹介した楽曲は下記SpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめているので、併せてお楽しみください◎ *Mikiki編集部
【田中亮太】
Luby Sparks “Somewhere”
Erika Murphy加入後の習作的な趣もあった(と自分は感じていた)EP『(I'm)Lost in Sadness』以降、数えられないほどのライヴをこなしてきたルビスパ。その修練期間を経て、バンドがひとつ上の階へと昇ったことを告げる新曲をドロップしました。物憂げで艶やかという歌唱の色は変わらずも、これまででもっともErikaのパワフルな生命力や動的な魅力が前に出ている印象。得意のドリーム・ポップなアンサンブルはもちろん、シンセのアレンジが利いています。
堂島孝平 with 竹内アンナ “やや群青”
市井の人々が日々の暮らしで感じるロマンスをポップスに変える名人の新曲には、京都在住のシンガー・ソングライター、竹内アンナが参加。エレクトロ・ハウス調のサウンドと男女デュエットでのヴォーカルが、海外メインストリームのポップっぽくて新鮮でした。
Keishi Tanaka “One Love”
傑作『BREATH』のブラック・ミュージック路線をさらに推し進めたゴスペル・ソウル。名前も知らない、でも確かに隣の街で暮らす誰かへの愛や慈しみを託した曲は、オフィシャルでアナウンスされている〈ツアーの前半に感じた想いを作品に残した〉もの以上の重みを持って、この先歌われていくように思います。
【高見香那】
deronderonderon “DisLove”
フロントマンのさわいかん率いるニューウェイヴやニュー・レイヴをルーツとしたダンス・ロック・バンドが、3か月連続でリリースするシングル第1弾。メロコア、パンク出身だというもりもとのぞみさんのマシーナリーなドラムスがバンドのムードを牽引していて超かっこいいです。
South Penguin “idol”
インタヴューに立ち合ったのでここ最近あらためて聴いていた『Y』。2曲目(“head”)のノーウェイヴみたいな曲で(毎度)ビックリしつつ、全編とおしてしっとりとした蜃気楼のなかにいるみたいな心地良さのある作品で、特別に思っています。中でも、〈アイドルだから/ずっとそうだから/本当もうこの全てにすがって/生きてみたいだけ〉と歌われる“idol”が美しすぎて……。
【酒井優考】
New Biboujin “Bonsole”
So Sorry,Hoboのギタリスト・岩井さんがやってるBurnQueはSo Sorry,Hoboとはまったく別のロックで驚いたけれど、BurnQueのベーシスト・川井さんがやってるNew BiboujinはBurnQueとはまったく別のジャンルで驚いた。ゆらゆら揺れるピッチのトラックに、優しさと強さが同居するMizuno Shotaのヴォーカル。海とか川をボーっと眺めてるみたい。
ichika “Tuning ABCDEF”
曲によって、ギターのチューニングをオープン・チューニングにするとか、くるりのようにDADGADのような変則チューニングにすることはままあるけれど、ABCDEFの順にしようと思った人はいないのでは(だってベロンベロンになっちゃう)。いや、いたとしてもこんな美しい曲にしてしまう人は絶対にいないと思います。ichikoroのフロントマンでもあるichikaさん、すごすぎます。
開歌-かいか- “かいかのMUSIC”
先日配信された配信限定EP『開歌-かいか-のMUSIC』より。コーラスが美しかったり、清楚だったり、キュートだったりしたこれまでの曲と打って変わって、早口言葉のごとく詰め込まれた音数からは、例えばNakamuraEmiのような強い女性からのメッセージを感じます。彼女たちにはこんな一面もあったのか。
レトロな少女 “恋の及第点”
馴染みのある街の馴染みのある古本屋が出てきてビックリし、もろ真部フォロワーだった頃から正当進化を遂げてて2度ビックリし、2分8秒の転調で見事にノックアウトされました。佐藤餓死ちゃんかわいい。
集団行動 “ガールトーク”
じゃあ真部さんの方は何してるんだろう?と思ったら、こちらも明らかに進化していてビックリ。一瞬〈え? いま動画止まった!?〉って思うような休符の無音部分と齋藤里菜さんの表現力にドッキリ。
【天野龍太郎】
ジオラマラジオ “orange”
ファーストEP『img』からTOWER DOORSで先行配信された“orange”。初めてライヴで聴いたとき、その美しさにはっとさせられました。特に〈罠の中に踊る君と僕の通過儀礼(セレモニー)は〉のところのメロディーを聴くと、ぎゅっと胸をつかまれたような気持ちになります(個人的にはジオラマラジオ最良の一曲)。lenとさかきばらみな、2人の歌がずっとユニゾンなのも本当に最高で、すばらしい、そしておそるべき才能だと思います。本日掲載されたインタヴューもぜひ読んでください。
Orangeade “Over Again (Osawa Kentaro Mix)”
Orangeadeのミニ・アルバム『Broccoli is Here』がストリーミング・サーヴィスでも聴けるようになったとか。さらに同作収録曲“Over Again”の大沢建太郎ミックスが突如リリース。低音やアタック感を強調したことで力強い音になっていてすばらしいと思いました。Orangeadeにとっては〈新曲〉と言っていいかも(にしても活動が独自すぎて情報が追っかけられません……)。
玉名ラーメン “aoluv (prod.nuum)”
セカンドEP『organ』より。グルーミーでフリー。〈もしかしたら楽園はもう少し先にあるのかもしれない/そう思った〉。あやうげな詩情にどうしようもなく惹かれます。
VOLODJA “Mood (Prod. VOLOJZA)”
ラッパー・VOLODJAの新作『In Between』(山田光が参加していたので気になっていました)から。あぶなかったしいほどにドープでchillin。
dodo “joke”
出ました、dodoの新曲。〈俺らそれぞれ持ってる地獄の日々/それについて今は白黒いい、〉。彼のリリックにはポジティヴィティーがあるのがいいんです。
PETZ “All Night Long (Prod. VLOT)”
PETZ from MONYPETZJNKMN/YENTOWNのファースト・アルバム『COSMOS』から“All Night Long”のビデオが発表。さりげなくダンサブルでラテン調のビート。you only live onceな一曲ですね。
Kuro “VIDEO (Prod. Shin Sakiura)”
Kuro from TAMTAMによるファースト・ソロ・アルバム『JUST SAYING HI』のオープナー“VIDEO”を使ったyurinasia & jABBKLABのダンス・ビデオ。曲が最高なのはもちろんですが、ダンスが本当にすばらしい。レッスンといわず、このまま本番のミュージック・ビデオを撮ってほしいほど。ダンサーのyurinasiaさんはさまざまな楽曲を取り上げているようで、そのセンスもまたすばらしいと思いました。
鈴木愛理 “Escape”
9月4日リリースですが、先日CMかなにかで聴いて〈すごっ!〉って思った一曲。ラテン・ポップとK-Popの影響下にあるJ-Popと言えましょう。安室ちゃんへのストレートな憧憬とリスペクトもすがすがしいほど。