75周年のブルー・ノートあれこれ!
ホセの『While You Were Sleeping』に前後して、quasimodeやJazztronikの良品を届けるなど、日本におけるブランド展開も独自に繰り広げるブルー・ノートだが、その75周年にあたっては3種の親切な独自編集盤がコンパイルされたので紹介しておきたい。
まず、『Blue Note -New Groove』は、ホセやロバート・グラスパー周辺の〈新世代〉を中心にヒップホップ以降の感覚で支持された楽曲をまとめたもの。
また、『Blue Note -Vocal Collection』はマリーナ・ショウからカサンドラ・ウィルソン、ノラ・ジョーンズに至るまでのヴォーカル・ナンバー集。
『Blue Note -Standard Time』はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズやセロニアス・モンク、ハービー・ハンコックらの定番が揃う〈スタンダード〉集となっている。
このなかで今回のページに直結しやすいのはマッドリブや黒田卓也、デリック・ホッジらの名が並ぶ〈New Groove〉ということになるだろうが、現在のブルー・ノートが帆を掲げる向きは一方向ではない。いわゆるジャズの範疇でグラスパーたちが奮闘する傍ら、昨年以降のリリースに限ってみてもロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンドの移籍作やエルヴィス・コステロ&ザ・ルーツのコラボ作が話題を撒いたわけで、受け手のイメージ制約以上に多様な顔ぶれがブランドのカラーを豊かにしているのは間違いないだろう。
なかでも大きな流れにあるのは、カントリーやフォークを中心としたルーツ志向の強さ。もちろんノラ・ジョーンズ以降のシンガー・ソングライター・ブーム時にもその傾向はあったが、往時に契約したエイモス・リーも近作ではさらにアメリカーナ寄りに転じたし、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの鍵盤奏者であるベンモント・テンチや、ロザンナ・キャッシュといったヴェテランの獲得も、その傾向に拍車を掛けている。7月にはノラの率いるプスン・ブーツのアルバムも控えているが、そういった現況を眺めていると、もしやドン・ウォズはブルー・ノートをアメリカンのようにしたいのでは?と、ふと思った。
▼関連作品
左から、ロバート・グラスパー・エクスペリメントの2013年作『Black Radio 2』、ロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンドの2013年作『Lickety Split』、エルヴィス・コステロ&ザ・ルーツの2013年作『Wise Up Ghost』、エイモス・リーの2013年作『Mountains Of Sorrow, Rivers Of Song』、ベンモント・テンチの2014年作『You Should Be So Lucky』、ロザンナ・キャッシュの2014年作『The River & The Thread』(すべてBlue Note)、7月17日にリリースされるプスン・ブーツのニュー・アルバム『No Fools, No Fun』(Blue Note/ユニバーサル)
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