エル・マイケルズ・アフェアの新作『24 Hr Sports』も話題のリオン・マイケルズ。前号に続いては、彼が主宰するビッグ・クラウンとその周辺からこの界隈の魅力を探っていきましょう!
では、先月からの続きです。エル・マイケルズ・アフェアで待望の新作『24 Hr Sports』をリリースしたリオン・マイケルズですが、言うまでもなくその作品を織り成すまでの縦糸と横糸にはこれまで彼が関わったさまざまなバンドやプロデュース作品があり、所属してきたソウル・ファイアやダップトーン、運営してきたトゥルース&ソウルやビッグ・クラウンといったレーベルの歴史があります。
そんなわけで今回はそうした縦横のなかから、リオンが深く関与した過去の作品を筆頭に、リオンとトーマス・ブレネック、ホーマー・スタインワイス、ニック・モヴションら〈ダイアモンド・マイン〉の面々による最近の関連作品、ダップトーンの近作、そしてリオンの直接タッチしたビッグ・クラウン作品のごく一部を紹介していきます。この鉱山はどこまでも掘り進められるわけで、今回はそのほんの入口ということで!
エル・マイケルズ・アフェアのニュー・アルバム『24 Hr Sports』(Big Crown)
ビッグ・クラウンの作品を一部紹介。
左から、ボビー・オロザの2022年作『Get On The Otherside』、バカオ・リズム・バンドの2024年作『BRSB』、マーローズの2024年作『Perak』、サプライズ・シェフの2025年作『Superb』(すべてBig Crown)
リオンがオルガン奏者として在籍し、99年に初シングルを出した4人組バンドがデスコに残した唯一のアルバム。ガブリエル・ロスのプロデュースでファンク・リヴァイヴァルの流れに則った内容だ。シンガーのジョセフ・ヘンリーを迎えた4曲も強力。
90年代にはポエツ・オブ・リズムとして活躍したミュンヘンの兄弟がソウル・ファイアに残した初作。ダップトーン組のシュガーマン&ロスも交えてサイケデリック・ファンクの世界が渦巻くなか、リオンもサックスとフルートの演奏に参加している。
デスコから登場した歌姫シャロン・ジョーンズが、シュガーマン&ロス周辺の演奏陣を従えたダップトーン第1弾作品。この初作ではオーティス・ヤングブラッド名義でリオンがサックスを担当し、次作『Naturally』(2005年)まで在籍した。
トゥルース&ソウルの設立第1弾となる初作。仲間のモヴション、ブレネック、スタインワイスがバックを固め、アイザック・ヘイズ曲も含む劇画的なジャズ・ファンクを鳴らす。ダップトーンのボスコ・マンもミックスやヴィブラフォン演奏で助力。
ソウル・ファイア傘下のラテン・エクスプレスに7インチを残していたラテン・ファンク集団がトゥルース&ソウルで形にした初作。実態はモヴションとブレネックを中心としたセッションで、プロデュースを務めたリオンもピアノやフルート、サックスを演奏。
ファット・ビーツ発のセカンド・アルバムは、レイクォンとのコラボを経て実現したウータン・クラン(とメンバー)のインスト・カヴァー集。演奏の布陣は前作とほぼ同じながら、主題に合わせてリオンがオルガンも弾いているのがポイントだ。
アヴィーチーと会う前のアロー・ブラックがトゥルース&ソウル勢にプロデュースを委ねて吹き込んだヴィンテージ・ソウル快作。当時マーク・ロンソンと組んで話題になっていたダップトーン勢と演奏陣はほぼ同じだが、リオンのセンスを見せつける。
リオンもメナハン・ストリート・バンドでバックを務めてきた遅咲きのソウルマンによる生前のラスト・アルバム。ブレネックが主導し、オルガンなどを弾くリオンもブラック・サバスのカヴァー(!)となる表題曲などを除いて大半の作曲に参加した。
エル・マイケルズ・アフェアでも演奏したトビー・パズナー主導で、ダップ・キングス周辺メンツが演奏したバンドでの唯一のアルバム。シュガーマン&ロスやブレネック、モヴション、ガイらと並んでリオンはサックスで参加している。
トゥルース&ソウルの消滅後に立ち上げたビッグ・クラウンから放った3作目。今回もウータンのカヴァー集ながら初めてリー・フィールズのヴォーカルをフィーチャーしているのが大きな変化。“All I Need”ではレディ・レイが歌っている。
ビッグ・クラウン作品でお馴染みのマックス・シュラガーとシャノン・ワイズを中心とするグループの2作目。レーベルがインディー・ロック目線で注目される契機になった。マックスはその後セイ・シー・シーのプロデュースなどを手掛けている。
NYの詩人ポール・シャルダのバックをマックス・シュラガーらが務めたバンドのアルバム。リオンとブレネックが共同プロデュースにあたり、フォーク〜アメリカーナにまで跨るオルタナティヴなバンドの個性を温かい音像で記録している。
ブレネックを中心にスタインワイスやモヴションら仲間たちが集った人気バンドの現時点での最新作。録音はダイアモンド・マインで、メンバーのリオンもオルガンやサックス、パーカッションで貢献している。
ギター/ヴォーカルのポール・スプリングをフロントにスタインワイスらがバックを支えた、サイケデリックなオルタナ・トリオのセカンド・アルバム。制作もスタインワイスで、リオンは“Brooklyn Ferry”のベース演奏にのみ参加した。
かつてトゥルース&ソウルをリオンと運営したジェフ・シルヴァーマンが、新レーベルのマイティ・アイを興して放ったソロ・プロジェクトでのデビュー作。リオンもアレンジや演奏で貢献したヴィンテージ・ディスコな音楽性が楽しい!
トゥルース&ソウル〜ビッグ・クラウンで長年リオンと組んできたヴェテラン・ソウル歌手がダップトーンへ移籍して発表した現時点での最新作。ボスコ・マン主導でリオンは不参加ながら、ブレネックやスタインワイスは変わらずバックを務める。
ザ・ルーツのMCとのコラボ作で、リオンがいつもの仲間やマルコ・ベネヴェントらとソウルフルな手腕でバックアップした好盤だ。レディ・レイやブレインストーリーもサポートに加わり、ルーツの一員になったデイヴ・ガイももちろん参加。
ブラック・キーズのダン・オーバックがリオンとスタインワイス、モヴションらを従えたサイケデリック・バンドでの8年ぶりのセカンド・アルバム。ダンと共同プロデュースも手掛けたリオンはハモンドやピアノ、シンセサイザーなどを演奏している。

2016年作『Day Breaks』での演奏参加から関係を深めたノラが、クリスマス盤に続いてリオンに全面プロデュースを依頼。ガイやスタインワイスも一部で参加しつつ、大半をノラとリオンが演奏し、ノスタルジックな傑作に仕上げられた。
エル・マイケルズ・アフェアとの共演作をきっかけにビッグ・クラウンで数作を吹き込んでいる、英国のシンガー・ソングライター。リオンとモヴションがバック演奏を務めた本作も、ソウルフルでスモーキーな質感のレゲエ作品となっている。
アトランタ出身のシンガー・ソングライターがリオンを共同プロデューサーに迎えた意欲作だ。リオンの指揮下でマルコ・ベネヴェントやディラン・ノーウィックが援護。エル・マイケルズ・アフェア新作にももちろん彼女は駆けつけていた。
カリフォルニアのマーティン兄弟を中心とするソウルフルでジャジーなサイケデリック・バンドの、ビッグ・クラウン移籍後の2作目。プロデューサーのリオンがさまざまな楽器演奏で助力するなか、クレイロもヴォーカルで貢献している。
豪州出身でLAで活動する口笛吹きの初作。ブレネックのダイアモンド・ウェストで録音されてヴィンテージなラウンジ感を獲得し、ロジャー・ジョセフ・マニングJrやホジェーらも参加。“Silhouette”の演奏にはリオンも駆けつけている。
ダップトーン〜ビッグ・クラウンの多くのバンドで演奏し、現在はザ・ルーツの一員でもあるトランペット奏者の初ソロ・アルバム。モヴション&スタインワイスがプロデュースを担当し、主役はピアノやシンセにもトライ。リオンもフルートで参加。
ダップトーン傘下のペンローズから登場したソウルディーズ・グループのセカンド・アルバム。ボスコ・マンがプロデュース&ミックスを担当し、ビッグ・クラウン産品とも当然通じるスウィートなソウル世界を聴かせてくれる。
こちらはリオン&ブレネックがプロデュースした女性ヴォーカルのソウル・グループによる初作。ダップトーンもビッグ・クラウンも同時期にチカーノ・ソウル勢を送り出すのは、やはりアンテナの感度が似ているからなのか? クレイロも参加。
リオンと同じ歳月だけ多様なバンドで活動してきたスタインワイスによる初のソロ作品。カービーやクレイロらのヴォーカルもフィーチャーし、ファンクやアフロビート、ジャズ、フォークなどを融合したファンキー・フットぶりを見せつけている。
エル・マイケルズ・アフェアの新作にも参加していた彼は、ブレネックがダイアモンド・ウェストで契約したリオデジャネイロ出身のシンガー・ソングライター。この同レーベルでの素晴らしい2作目にはリオンとデイヴ・ガイもホーンで援護している。
ハンブルグで生まれ育ったトルコ系のシンガー/バーラム奏者、デリヤ・ユルドゥルムの率いる多文化バンド。これはリオンがプロデュースしたビッグ・クラウン移籍後の第1弾で、トルコの伝統歌謡をサイケデリック・ソウルで包んだような心地良さ!
こちらはダップトーン傘下のペンローズが送り出したソウルディーズ路線の新進グループによるファースト・アルバム。ボスコ・マンがプロデュース&ミックスを担当し、ドゥワップ作法も交えたチカーノ・ソウルを堪能させてくれる。
初作からダップトーン勢を招き、『Red Moon In Venus』にもリオン軍団を迎えていたカリ・ウチス。この最新作ではリオンが“Angels All Around Me...”の共同プロデューサーを務め、スタインワイスやベネヴェントらと生の息吹を注入する。
ブレネックが2005年にダップトーンで結成したガレージ・ファンク・バンドの最新アルバム。今回からは自身で設立した西海岸の自主レーベルに籍を移し、もっともハード・ロッッキンで豪快なサイケデリック路線のグルーヴを紡ぎ出している。
ビッグ・クラウン勢と仲の良いダン・オーバックは本丸のバンドによるこちらの最新作にもリオンやブレネックを招待。モーグやオルガンも弾くリオンの活躍はアークス状態だ。“Down To Nothing”ではレディ・レイもバック・ヴォーカルに参加。































