PEOPLE TREE
耳で聴いたピープル・トゥリー

NORAH JONES 『Playdate』 Blue Note(2020)

ウィリー・ネルソンの2013年作『To All The Girls...』でニアミスしていたメイヴィスとノラは2019年の“I’ll Be Gone”で初共演。その後もポッドキャスト企画に起因する“Friendship”でコラボを果たしている。そういえばノラの主演映画「マイ・ブルーベリー・ナイツ」のサントラにもメイヴィスの曲はあった。

 

BOB DYLAN 『Slow Train Coming』 Columbia(1979)

もともとポップスが“Blowin’ In The Wind”を気に入って何度もディランの曲を取り上げたステイプルズだが、ディランはそれ以前にラジオで“Uncloudy Day”を聴いて衝撃を受けていたという。クリスチャン時代の彼がスワンパーズと作った本作所収の“Gotta Serve Somebody”はポップスもメイヴィスもカヴァーしている。

 

ARETHA FRANKLIN 『One Lord, One Faith, One Baptism』 Arista(1987)

父のポップスは娘をアレサのような存在にしたかったというが、ソウル転向後の女王はステイプルズの作法を意識していたはず。前後してスワンパーズの面々と組み、“The Weight”を歌い、揃ってカーティス・メイフィールドとサントラを作るなど近い位置にいた両者は、このアレサの教会ライヴ盤でついに共演を果たした。

 

BONNIE RAITT 『Just Like That...』 Redwing(2022)

父ステイプルズのソロ作『Peace To The Neighborhood』(92年)でメイヴィスとニアミスした彼女は、ステージ共演やドキュメンタリーへの出演、シェリル・クロウ“Live Wire”(2019年)でのコラボなどで縁を深めてきた。今回の新作では“Everybody Needs Love”にスライド・ギターとコーラスで参加している。

 

JEFF TWEEDY 『Twilight Override』 Legacy(2025)

ウィルコのリーダーでザ・バンドのファンという目線も持つ彼は、メイヴィスがアメリカーナ路線を推進するのにこれ以上ない適任だった。プロデューサーとしてグラミー受賞作『You Are Not Alone』を含む3枚を手掛け、ポップスの遺作リリースにも尽力。新作にもギターで参加している。

 

CURTIS MAYFIELD 『Roots』 Curtom/Rhino(1971)

同じシカゴから登場し、ゴスペル作法を世俗音楽に導入した点も通じるカーティスは、70年代半ばにステイプルズ家の3作品をプロデュース。彼の最終作『New World Order』(96年)にも駆けつけたメイヴィスは、以降も“This Is My Country”を取り上げ、新作でも“We Got To Have Peace”をカヴァーしている。

 

PRINCE 『Graffiti Bridge 』 Paisley Park/Warner Bros.(1990)

契約がなかった時期にメイヴィスをペイズリー・パークへ迎え入れたプリンスは、評価の高いアルバム2枚(リイシュー希望!)をプロデュースし、レジェンドが現在進行形の存在だということを証明した。本人主演映画のサントラも兼ねたこちらではソロ曲“Melody Cool”などでメイヴィスが歌っている(映画本編にも出演!)。

 

VALERIE JUNE 『Owls, Omens, And Oracles』 Concord(2025)

スタックスへの敬意を抱きつつカーラ・トーマスらと交流を深め、メンフィスで独自のアメリカーナを追求する彼女。メイヴィスには“High Note”(2016年)を提供したほか、自身の“Why The Bright Stars Glow”のアコースティック・ヴァージョンにも招いていた。

 

STAPLES JR. SINGERS 『Searching』 Luaka Bop(2024)

本家とは無関係ながらも憧れから名乗っていた〈もうひとつのステイプルズ〉も、アニー&ザ・コールドウェルズの話題を経由して知られるようになったか。ルアカ・バップからの連想でいうと、デヴィッド・バーンをギターで招いて本家ステイプルズがトーキング・ヘッズ“Slippery People”をカヴァーしたこともあった。