キッチュにしてエッジーなバンド・サウンド、純粋無垢な少女性と凛とした存在感を併せ持ったヴォーカル、ネガとポジが絡み合う詞世界によって、結成からわずか1年半で急激に知名度を上げているポップ・ロック・バンド、ネクライトーキー。コンテンポラリーな生活で活動してきた朝日と藤田、そのサポート・ドラマーでもあったカズマ・タケイに、フロントのもっさを加えたこの4人組から、初の全国流通盤となるファースト・フル・アルバム『ONE!』が届けられた。タワーレコードのネクスト・ブレイク・アーティスト売上ランキング企画〈タワクル〉にて大阪、渋谷、名古屋で1位を獲得した先行シングル“オシャレ大作戦”も含む本作について、ボカロPの石風呂としても活動しているメイン・ソングライターの朝日は「アルバム全体が、もっさの人柄みたいに感じる」という。

ネクライトーキー ONE! NECRY TALKIE(2018)

 「たまにめっちゃおもしろい顔をしたり、急にネガティヴになったり、でも、折れない強さがあって。もっさをこのバンドに誘ったのは僕なんですが、声の良さはもちろん、彼女が以前やっていたバンドのライヴを観たとき〈音楽家として尊敬できる〉と思ったから。まったくカッコつけず、〈そのまま〉でステージに立っているのもすごく良かったんですよね。僕自身も〈本当の自分以上のものを無理して見せようとしてもしょうがない〉と思ってるので」(朝日)。

 “タイフー!”“許せ!服部”などの既発曲のほか、“レイニーレイニー”“こんがらかった!”“めっちゃかわいいうた”などの新曲も収録され、「朝日の〈新曲を作りたい〉という意志がすごく強くて。この1年半の集大成であると同時に、先に進んでいることを示せたと思う」(タケイ)という本作。楽曲制作に際しては「10代のときの自分が聴いて、アガれるかどうか」(朝日)が基準になっているのだとか。

 「自分が聴いてきた音楽、好きなものがたくさん入ってるんですよね。例えば“タイフー!”は、フジファブリックの“TAIFU”とはっぴいえんどの“颱風”を交互に聴きながら作ったし、“レイニーレイニー”は〈チャットモンチーがヴァンパイア・ウィークエンドをカバーしたら〉と想像しながら制作したんです(笑)。そういう作り方をしても〈これは自分にしか作れないものだ〉という自信もあるので」(朝日)。

 「以前の朝日は真逆だったんです。〈どんな曲も朝日らしくなるんだから、好きなことをやれば?〉と言っても〈もっと考えて作らないとオリジナルにならない〉って。ネクライトーキーを始めて、そこは大きく変わりましたね」(藤田)。

 「私はもともと朝日さんの作る曲が好きだったので、〈どういう音楽に影響されてきたんやろ?〉って探るのもおもしろくて。ゲームの『星のカービィ』が好きって言ってたからサントラを聴いてみたら、〈シンセの音、そのまんまやん!〉って(笑)」(もっさ)。

 「曲を作ってると自然にメンバーの演奏を思い浮かべるし、アレンジにも影響する。自分ひとりで完結させるときとネクライトーキーのために作る曲はまったく違いますね」(朝日)という言葉の通り、バンドとしての一体感も生まれつつあるネクライトーキー。〈この4人でやりたいことをやる〉というストレートな衝動こそが、このバンドの核であり、最大の魅力なのだと思う。

 「いままでの他のバンドでの活動が波に乗り切れなかったところがあったので、いまは良い状況でも〈本当に大丈夫なのかな〉という不安もありますけどね……もともとネガティヴなので(笑)。でも、跳ね上がれることを信じてやっています」(藤田)。

 「僕も長くドラムをやってきたので、結成した頃は〈このバンドで成功してやる!〉と思ってたけど、実際に活動が始まると、そんなことはどうでもよくなって。いいメンバーと一緒に演奏するだけで十分という気持ちが強いですね、いまは」(カズマ)。

 「ネクライトーキーの音楽がすごく好きなんです。朝日さんの曲があれば大丈夫だと思います!」(もっさ)。

 


ネクライトーキー
写真左から:カズマ・タケイ(ドラムス)、もっさ(ヴォーカル/ギター)、朝日(ギター)、藤田(ベース)によるポップ・ロック・バンド。コンテンポラリーな生活や石風呂として活動する朝日が、同バンドの藤田とタケイ、別のバンドで活動していたもっさを誘う形で2017年3月に結成。8月に初ライヴを行い、デモ・シングル“タイフー!”を会場限定でリリース。11月にセカンド・デモ・シングル“だけじゃないBABY”を発表。コンスタントなライヴを通じて人気を集めていく。今年に入り、MVが170万回以上の再生数を記録している“オシャレ大作戦”のシングル発表を経て、初の全国流通作品となるファースト・フル・アルバム『ONE!』(NECRY TALKIE)を12月5日にリリースする。