909state 『横綱 EP』 インダストリアルで無骨なハード・テクノ。パソコン音楽クラブとTomohiro Nakamuraのリミックスも収録

2019.01.25

昨年、lightmellowbuLocal Visionsの共同イヴェント〈Yu-koh 体験版〉に行ったとき、会場のOtohatobaでたまたま出会った909stateに手渡されたのがこのCD。〈tofubeatsと友だちで、ツイッターでよく見かける人〉というのがそれまでの印象で、実際に会ってみると〈ノリがよくて、よくしゃべる人だなあ〉と勝手に感じていた。

神戸から帰り、この『横綱 EP』を再生してみると、そのあまりにも暴力的な音に驚かされた。端的に言って、音がデカい。質感はアシッディーでノイジーでインダストリアル。BPMは速く、ビートは聴き手を攻め立てるようにせわしなく刻まれる。イヤホンやヘッドホンで聴いていると、鼓膜に直接ハンマーが打ち付けられているような感覚を覚える。つまり、けっして耳に優しい音楽ではない。

まず思い出したのがジェフ・ミルズで、『Waveform Transmission Vol. 1』(92年)と『Waveform Transmission Vol. 3』(94年)における削ぎ落とされたハードなテクノに近いと感じた。それから、エイフェックス・ツイン。特に『...I Care Because You Do』(95年)の、アシッドからドリルン・ベースへ向かおうとしているあの絶妙な時期の音を想起した。

無骨な1、2曲目の“Yokozuna”“Fractured”とは対照的に、3曲目の“Phantom Lady”はファンキーなハウスだ。けれども、やはりBPMは速いし、ミニマルな構造はいたって硬質。終わり方も唐突で、あまりにもそっけない。

“RaTaTam”という曲のパソコン音楽クラブのリミックスでは、彼ららしいユーモアやニュー・エイジ風のサウンドも顔をのぞかせる。が、トータルはあくまでもシリアスでハードだ(昨年の新作『CONDOMINIUM. ー Atrium Plants EP』の路線にも通じている)。続くTomohiro Nakamuraのリミックスは、デイヴ・エンジェルへのリスペクトで制作されたとか。丹念に作り込まれたデトロイト~アシッド・ハウスという印象の一曲。

おもしろいのがクローザーの“Entity”で、これはドローンというか、ダーク・アンビエントのような楽曲となっている。グラデーションのように変化していく持続音が6分間続くのを聴いていると、それこそジャケット写真のような誰もいない、暗い工業地帯に放り込まれたような気分になる。