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今月の素敵音楽 from2Dao and more!

花澤香菜 ココベース SACRA MUSIC(2019)

主に渋谷系の流れを汲む音楽性で支持を広げてきた声優シンガーは、5作目で新たなフェイズへ。佐橋佳幸プロデュースの本作には、山内総一郎、橋本絵莉子、OKAMOTO'S、真島昌利らバンド界隈の人気者や、槙原敬之らJ-Popシーンの第一人者が楽曲を提供。在日ファンクとのゆるファンクから岡村靖幸+大貫妙子との軽快ポップまで、作家陣の強い個性を可憐に束ねる歌唱が流石です。 *土田

 

久保ユリカ VIVID VIVID ポニーキャニオン(2019)

約1年半の充電期間を挿んだ新作のテーマは〈再始動〉。80s風のシンセ・ポップ、挑発的なEDM調、ファニーなテクノ・ポップ、開放的なハウス……とTAKAROT、ANCHOR、ヒゲドライバー、毛蟹が担ったダンサブルに弾ける楽曲を軽やかに乗りこなす歌声は、従来とは異なる新鮮な驚きを与えてくれます。唯一のバンド・サウンドである終曲を含め、晴れやかな心機一転のムードが伝わる一枚。 *土田

 

沼倉愛美 アイ FlyingDog(2019)

WEST GROUND×ZAI-ONによる既出のアニメ主題歌で披露してきた〈クールな強さ〉を備える歌唱は、より多彩な音にフィットすることを証明する2作目。弦や鍵盤を従えた疾走チューンに始まり、小悪魔的なエレポップ、堀江晶太らが担当した鋭利なギター・ロックにアンプラグドな雰囲気のミディアムなど、曲調はさまざま。詞を自作したエモ曲を勇壮に歌い上げるラストもドラマティック! *土田

 

小倉唯 ホップ・ステップ・アップル キング(2019)

永遠のスウィート・ヴォイスはそのままに、マイナー調のナンバーが増えたことでシンガーとしての成熟をしっかりと印象付ける3作目。歌謡的な哀愁漂う“雨の森はウソつき”も素晴らしいが、上品な薫りのバラード“ショコラ”はちょっと反則級の名曲だ。昨年に一部で話題を呼んだ多保孝一提供のアンセミックな今様ポップ“Brand-New-Road”の初CD化も嬉しい。 *北野

 

TrySail TryAgain SACRA MUSIC(2019)

各自のソロ活動を含め、快進撃が止まらない声優ユニットの3作目。GARNiDELiA製のクールなEDM“Truth.”や切なくも甘酸っぱい絶品ミディアム“azure”と、直近のシングルで示した表現の幅は、グルーヴィーにも中華風テクノ・ポップにも振り切れた新曲群でさらに拡大。何より3人の歌声が個としての主張を強めたことで、音楽的にもより立体的で味わい深くなったように思う。 *北野

 

三森すずこ holiday mode ポニーキャニオン(2019)

自身初のミニ・アルバムは、〈祝日〉をテーマにさまざまな休日の過ごし方をウェルメイドなポップスに仕立てた一枚に。渡辺翔×中山真斗の強力タッグによる綺羅星ポップ“星屑のカーテン”がロマンティックでグッときたが、それ以上に涙腺を刺激するのが、美しい青春の日々を振り返る自作詞の“Precious days”。ミルキィホームズの活動を終えた今の彼女に歌われると、もう……(泣)。 *北野

 

シンジュク・ディビジョン 麻天狼 The Champion EVIL LINE(2019)

女性誌でも特集が組まれるなど、もはや一大ブームと化している〈ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-〉より、投票バトル〈Battle Season〉を制したシンジュク・ディビジョンの麻天狼による優勝記念シングルが到着。その彼らが歌う“The Champion”はZeebraが楽曲を提供しており(作/編曲は理貴との共作)、不穏な変則トラップに乗って不遜な口ぶりでナンバーワンをアピールする余裕の一曲。特にBAD HOPばりの最新フロウでまくし立てる伊弉冉一二三は、フリーキーな合いの手を含め進化の度合いがハンパない。そしてカップリングには、各ディビジョンのリーダーがかつて結成していた伝説のチーム、The Dirty Dawgの楽曲“T.D.D LEGEND”を初収録。各自のカラーに合わせて次々と変化していくロッキン・ビーツを勇ましく乗りこなす4人のマイク捌きはまさにレジェンダリー。今は互いにいがみ合う彼らが一丸となっていることも含め、これは高まらざるを得ない! *北野 創

Zeebraの2013年作『25 TO LIFE』(ARIOLA JAPAN)