斉藤壮馬の音楽愛がスパークしまくるサード・アルバム!!!

斉藤壮馬 『Fictions』 SACRA MUSIC(2024)

 歌唱力やソングライティング面でも高く評価されてきた人気声優、斉藤壮馬、4年ぶりとなるサード・アルバム『Fictions』でも、自身ですべての作詞・作曲を手掛け、テーマである〈なぜ人は虚構に魅了されるのか〉という問いに、さざまなアプローチで迫っている。思春期の頃からインディー系のロックやオルタナをこよなく愛していた彼だけに(過去には“Vampire Weekend”なんて曲を発表したりも)、硬軟自在のギターがエモを思わせる“ハンマーガール”、眩い楽観性を放つメロディック・パンク“Riot!”、ゴキゲンなコーラスを据えたグラム調の“Puppet Mood”、ネオアコ・マナーの“ベントラー”などはお手のものといったところか。ファンキーなビートを艶やかなファルセットで乗りこなす“(Fake) Flowers”、ピアノが美しいメランコリックなバラード“雨の庭”などアレンジの多彩さも見事かつ、それらに添いながら言葉のひとつひとつに感情を芽吹かせていく主役の歌が素晴らしい。これは名盤でしょう!

斉藤壮馬の作品。
左から、2020年作『in bloom』、2022年のEP『my beautiful valentine』『陰/陽』(すべてSACRA MUSIC)