例えばラトルにとってのバーミンガム市響、ヤンソンスにとってのオスロ・フィルのように、ネゼ=セガンにとってのそれは、このモントリオールのオケだ。ディスクであっても精力的に鮮度の高い音楽を封じ込めんとするネゼ=セガンの溌溂とした躍動ぶりは、初のシベリウス録音でも全く揺るぎがない。潔く交響曲第1番だけを収録した当盤、やはり第1楽章に彼の真骨頂が表れる。デュナーミクを繊細にコントロールしつつ、フレーズを引き絞り広々と開放することで生まれる晴朗かつ弾力的な響き。呼吸感も自然なので息が詰まらない。いくつもの豊かな歌謡性の発露でみせるネゼ=セガンらしい高揚ぶりは期待通りに魅力的だ。