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ネゼ=セガン指揮LSOによる伝説の指揮者・作曲家バーンスタインの伝記映画のサントラ盤

 「世界楽壇最大の〈問題〉(プロブレム)の1つが消えた」――ウクライナ系ユダヤ&アメリカ人の指揮者で作曲家、レナード・バーンスタインが1990年10月14日に亡くなった際、ドイツの新聞が追悼記事につけた見出しだ。

 ハーバード出身のインテリでピアノも弁舌も達者、1943年に25歳で急病の大指揮者ブルーノ・ワルターの代役を務めて一躍、スターの道を歩み出す。1958年にはアメリカ生まれの指揮者として初めてニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督に抜擢された。1957年にブロードウェーで舞台初演、1961年に映画化されたミュージカル「ウエストサイド物語」の作曲家としても大成功を収める。

 1951年に結婚したチリ出身の元女優、フェリシア・モンテアレグレとの間には3児を授かり、彼女のガンが発覚するとすべての予定をキャンセル、1978年に亡くなるまでの1年間、ずうっとそばにいた。一方、男性への性的嗜好を隠すこともできなかった。

 Netflixオリジナル映画「マエストロ:その音楽と愛と」はバーンスタインとフェリシアの波乱に満ちた結婚生活を多くの音楽シーンを交えて描く。1988年にテレビドラマ「セックス・イン・ザ・シティ」でデビュー、2011年の「ピープル」誌で〈最もセクシーな男性〉に選ばれたブラッドリー・クーパーは主役バーンスタインを演じるだけでなく、監督と共同脚本、共同プロデューサーを兼ね、入れ込みの激しさを思わせる。

 DG(ドイツ・グラモフォン)レーベルがディスクを同時発売するサウンドトラックの大半はヤニック・ネゼ=セガンが担当。メトロポリタン歌劇場とフィラデルフィア管弦楽団のシェフを兼ねるヤニックは「ゲイをカミングアウトした上でメジャー音楽団体のポストに就いた最初の指揮者」であり、ここではバーンスタインが亡くなるまで会長を務めたロンドン交響楽団を指揮、先輩への深い愛情を示している。