ここに現出する祝祭空間の並大抵ではない熱量は、この破格の交響曲の本質からまさしく選び取られたものだ。マーラーがミュンヘンで指揮した1910年世界初演にはストコフスキーも列席し、1916年にアメリカ初演をフィラデルフィア管と敢行する。それから100年、この記念碑的演奏会をネゼ=セガンは音楽史的系譜を明瞭に意識した上で、巨大な音楽の太い流れを背景ごと音化することに傾注し、巻き起こるように沸騰するエネルギーの再現に成功した。第2部大詰め“神秘の合唱”の高揚の末に噴出する管弦楽が粘るように炸裂する凄まじさなどは、居合わせた聴衆さながらに聴き手の胸を熱くふくらませてくれる。