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Orangeadeは早くも自分たちを解体しはじめた?

――Orangeadeは完璧な才能が集まった完璧なポップ・ユニットのようでいて、沖井さんの言葉を借りれば、ポップスっていうフォーマットを壊しにかかるようなバンドなんですよね。そういう危ういところがあるから、みんな惹かれているっていう部分はあると思います。

沖井「そうですよね。何が起こるかわからない。ミニ・アルバムが出たときにびっくりした人も結構多いと思う。〈あっ、早くも自分たちを解体しはじめてるな〉っていう(笑)」

一同「(笑)」

沖井「ただ、解体した先におもしろいものが見られそうだなっていうのがあって。たぶんそれって1人じゃできないんですよ。みなさんそれぞれ1人でも活動できる人たちだし、普通だったらそういうバンドはつぶし合いになって短命で終わるんですよ。Orangeadeはそうなってないのがおもしろい」

大沢「Orangeadeは3人で出来てるから、責任が分散されるのが楽だなって思います」

一同「(笑)」

大沢「だから、多少めちゃくちゃやっても、俺のせいにはならないなって」

佐藤「まあ、そうだよね。シングル(2018年作『Orangeade』)を聴いてファンになってくれたけど、『Broccoli is Here』を聴いて戸惑った人はすごくいたと思うんですよね。でもまあ、それも狙いではあるし、作り上げたイメージを壊したんだとしても、もう一回作れば何かまた違うものが出来ますし。

そもそも友達で組んだバンドだったわけではないですから、ある程度そういう循環のなかで関係性を築いていかないと。そのなかでこそ音楽的に毎回発展していくことができると思うんです」

大沢「次はZARDみたいなことをやりたいです」

一同「(笑)」

大沢「FIELD OF VIEWみたいな、キラキラしたのにいま向かってますね、僕は。ホントに、冗談抜きで」

――Orangeadeという入れ物があればなんでもできるというふうに思っているっていうことでもありますよね。

大沢「そうです」

佐藤「〈こんな音楽をやろう〉って決めているわけではないですし。〈ポップス〉っていう括りは絶対に必要なわけですけど」

大沢「最初は、なんとなくこういう雰囲気を出したいっていうのがあるにはあったんですよ。でも、いまは自然にやるしかないんだなって思っています。興味のないところに寄せていこうとしても僕らはできないし、3人それぞれのやりたいこともある。まあ、なすがまま、あるがままにやるしかないですね」

佐藤「Orangeadeではもっと戦略的に活動して、最短で売れたかったっていうのが、いちばん考えてたことなんですけど、僕も最近はもうそれは放棄しはじめてますね(笑)」

沖井「ええっ(笑)!?」

佐藤「やっぱりそういう打算的な考えではバンドは回らないので。それと、クォリティーに対して誠実であろうとすると、それ(売れること)は叶わないっていうのがわかりました(笑)。なので、長いスパンのなかで、自分たちなりの理想形を考えていくのがいいのかなと思ってます」

沖井「でもね、いま〈放棄した〉って言ったけど、本当にOrangeadeが好きで理解している人たちは『Broccoli is Here』ですごく愛情が深まったと思う。どちらかというと、そういう支持を得ることのほうが難しい。

売れる売れないっていう話で言えば、逆に売れるほうに近づいたと僕は思うけどね。〈こうしたら売れますよ〉みたいな、大人が考えるようなフォーマットでないところでその魅力を発信できているっていうのが、結構ずるいというか、うらやましいなって僕は思っています」

佐藤「いまだに我々のバンドがどういうふうに見られ、聴かれているのかっていうのは正直わからないところがあるんです。4月のワンマン・ライヴ(2019年4月6日、江古田BUDDY)には、すごく若い女性のお客さんもいて、それはうれしかった。そういう意味では、〈シティ・ポップ〉的な評価のされ方だけじゃなく、かなり幅広い層の方々に聴いてもらっているのかな」

――Orangeadeは結成当初から、ネットで情報を発信するんだけど試聴はさせないとか、肝心なことはわからないっていう方法を取っていたでしょう? あれがすごくおもしろかったし、飢餓感を煽ったところはありましたよね。なんかバズっているんだけど、音は聴けないし、ライヴもめったにやらない、という。

佐藤「最初は見せ方をちゃんと考えていました」

沖井「すごく絶妙な〈飢餓商法〉をやるなこいつら、みたいに思ってましたけどね(笑)。でも、謎めいた感じってずっとはやっていけないから、どこかでヴェールは脱がないといけない。たぶん、いまがそういうタイミングなんだろうなあ。でも、やっぱり最初からちゃんと考えてたんだね」

佐藤「もともと僕はそういう役割でバンドに呼ばれたと思っていたので」

 

Orangeadeはアドヴァイスを受けるようなタマじゃないでしょう

――今後もし沖井さんとOrangeadeが何かを一緒にやるとしたら、どんなことが考えられますか?

沖井「提案とかアドヴァイスっていうのはたぶん、受け付けてもらえないからなあ(笑)。ていうか、〈彼らはそんなタマじゃないでしょう〉っていう気がするんですよね。一応僕のほうが年が上だからきちんと接してくれているけど、僕が20代とか30代前半の頃って50歳のやつなんて馬鹿にしていましたからね」

一同「(笑)」

黒澤「僕たちはしてないですよ(笑)!」

大沢「尊敬しています(笑)」

沖井「僕がOrangeadeに何かを言うより、僕はずっと彼らを見ていたい。実は3月のTWEEDEESのライヴのときにオープニング・アクトをお願いしていたんですよ。絶対共演したくって。でも、Orangeadeはちょうどツアーから帰ってきた日だったんです。ライヴに遊びには来てくれたんだけど、到底演奏するのは無理だったよね」

黒澤「そうですね。あの日はヘトヘトで、ライヴをやっていたら絶対に死んでいましたね」

沖井「僕的にはあのときの痛恨があるので、ぜひ近いうちに対バンをやらせてほしいな」

黒澤「対バンするには僕らの技術力アップが必要ですね、TWEEDEESのライヴの凄さを観ちゃうと」

沖井「いやいやいや。あれ、全部はったりだから(笑)」

編集部「Mikikiで対バンイヴェントをやりましょう」

沖井「あっ! よろしくお願いしますっ! ぜひ! もうそれ、いますぐスケジュールを確認するぐらいの勢いで」

一同「(笑)」

 


RELEASE INFORMATION
Orangeade『Orangeade』
SpotifyやApple Musicなど、各種ストリーミング・サーヴィスで配信中

 

LIVE INFORMATION
■Orangeade
POPS Parade vol.25 『MEET MUSIC LIVE』

6月8日(土)東京・代官山 晴れたら空に豆まいて

■TWEEDEES
TBS RADIO presents [TWEEDEES x ikkubaru x RYUTist LIVE]
6月2日(日)東京・代官山 UNIT
TWEEDEES presents Victoria’s Circus vol.3
6月29日(土)東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGE