Mikiki編集部のスタッフが〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は毎週火曜(歌謡)日、新着楽曲を軸にマイブームな音楽を紹介していきます。挙げる曲数は無制限というゆるルールなのですが、今週は多めで、やる気100%でやらせてもらいます。
紹介した楽曲は下記SpotifyとYouTubeのプレイリストにまとめているので、併せてどうぞ。 *Mikiki編集部
【高見香那】
VA 『WORLD FLIPPER Original Soundtrack』
11月末にリリースされたCygamesによるスマホ向けゲーム「WORLD FLIPPER」のサントラ版、DÉ DÉ MOUSEやMiliら著名な面々にMON/KUといった気鋭のアーティストが手掛けた一部楽曲が配信スタート。未体験ながらゲームのストーリーへの妄想がモクモク広がる楽しい7曲(MON/KU製の暑そうな曲がとても良いです)。最終的に21アーティストが参加した全94曲が公開されるようです。
高田憂希 “Mirrors(PolluX Musiq Bootleg)”
トラックメイカー・yuichi NAGAOが別名義、PolluX Musiqで声優の高田憂希の楽曲(アニメ「COCOLORS」挿入歌のカヴァー)を2ステップにリミックス。Twitterで流れてきて軽い気持ちで再生したらそのキラメキにビビっときてリピートしてしまっています。ちなみにNAGAOさんと言えば、ピープル波多野裕文さんとゴーゴー・ペンギンについて語った記事も必読ですぞ。
【小峯崇嗣】
The mellows “Plastic Time”
大阪を拠点に活動する5人組バンド、The mellowsが今年3月にリリースしたセカンドEP『Take me out of this world』より“Plastic Time”をピックアップ。
ノスタルジックなレトロ・ポップを奏でつつ、カレイドスコープのようなサイケデリックな世界観に浸れる一曲。個人的に日本版のマリアス(The Marias)的バンドだと思っています。
Otömika ”//////Jp ( おはよう )”
UMI(ユウミ)によるソロ・プロジェクト Otömika(オトミカ)が去年の2月にカセットテープでリリースした『222Good morning223』が、リマスター音源で11月27日に各プラットフォームで配信されました。彼女は環境音をサンプリングしたり、アナログ機材やiPhoneなどで実験的に楽曲を制作しているそうです。
水のせせらぎと、鳥たちの囀りなど爽やかな朝を想起させる音楽でありながら、ピアノ・サウンドがどこか孤独さや寂しさを感じさせるアンビエントな一曲に仕上がっています。終盤の彼女の囁きがまた素晴らしいです。
【酒井優考】
原田珠々華 “Sixteen”
春に原田さんのインタヴューに立ち会った際に〈アイドルネッサンスが解散した瞬間、青春が終わったと思ったんです〉と言っていたのが忘れられなくて、17歳になった彼女が〈16歳〉を歌ったこの曲の歌詞にどうしてもその言葉を重ねてしまいます。と同時に1年前に発表したデビュー曲“Fifteen”と共通するところ、変わったところ、成長したところも垣間見えてすごくグッとくるし、今度はそれが1年後にどう変化しているのかもすごく気になります。先日最終回だったbounce誌の連載やインスタのストーリーでの受け答えも聡明でおもしろいし、きっともっと大きな存在になると思います。
水野創太 “あかり”
ギター弾き語りのライヴしか拝見したことがなかったので、このサウンドの変化にはビックリ! ストリングスを始め楽器が全部整っていて美しいし、そこに乗る歌がどこまでも優しい。解毒されました。
Rude-α “ハレルヤ feat.BASI”
韻シストのBASIとコラボすることで、どこか大人の余裕みたいなのが出てる気がします。
「100 YEARS TRAIN|相鉄都心直通記念ムービー」
こんなんズルい(くるりの“ばらの花”とサカナクションの“ネイティブダンサー”をマッシュアップしてFLOWER FLOWERのyuiとodolのミゾベリョウが歌うという全部に対して)。
【天野龍太郎】
conte “季節を狙え”
昨夜のイヴェント〈Mikiki presents TWEEDEES × Orangeade〉にお越しいただいたみなさま、ご出演いただいたみなさま、スタッフのみなさま、ありがとうございました。月曜日にもかかわらず、本当にたくさんの方に来ていただけたので、とてもうれしかったです。お客様あってのイヴェント、という当たり前のことを痛感しました。
こちらは西永福JAMに〈Orangeade〉という名前を置いて帰った新バンド、conteの新曲です。ライヴでも1曲目に演奏されていましたね。ライヴを観ずともこの軽快でユーモラスな新曲を聴けば、シンリズムくんの加入によってバンド感がぐっと増し、よりパワフルになったことが感じられると思います。黒澤ようと佐藤望、シンリズムの3人が今後、どんな素敵な曲を届けてくれるのか、どんな力強いライヴをかましてくれるのか、めちゃくちゃ期待しています。
TWEEDEES “Me & My Béret”
TWEEDEESとCA4LAがコラボレーションしたベレー帽にTWEEDEESの新曲がついてくる、というのは先日、酒井さんも紹介していました。ですが、ライヴでも演奏されたこの曲を改めてご紹介。軽やかなビート、サビの魅惑的なメロディー、清浦夏実さんの透明感ある歌声……この曲を聴いていると、昨夜の演奏の様子が浮かんできます。
コラボベレーは物販でも飛ぶように売れていました。会場でかぶっているお客様もちらほら。沖井礼二さんと清浦さんも、すっごく似合っていましたね。
RYUTist “夢見る花小路”
しつこいようですが、TWEEDEESとOrangeade改めconteの対バンについて。望くんが作曲したRYUTist“夢見る花小路”をconte+清浦さんでカヴァー、という嬉しいサプライズがありました。沖井さんがとにかくこの曲に惚れ込んでいるようで、舞台袖から演奏の様子を笑顔でご覧になっていたとか……。2017年の曲ですけど、改めていい曲ですね。清浦さんの歌声とconteの演奏、新潟・古町まで届いたかな。
ポケモン音楽クラブ “ポケモンしりとり(ピカチュウ→ミュウVer.)”
アニメ「ポケットモンスター」の新しいエンディング・テーマ。作詞・作曲・編曲はパソコン音楽クラブ。すげーとしかいいようがありません。すげー。ゲームボーイ時代のポケモンへの愛を感じる音色といい、子どもたちの声といい、聴いているとなんだか泣けます。
Tenma Tenma “李李飯店のテーマ”
ニュー・シングル『遊星にて』から。先週末は幽体離脱して神戸の街へと飛んでいき、SNJO『Diamond』のリリース・パーティー〈李李的催事〉に魂だけ参加しました。
Okada Takuro “Before”
Bandcampでリリースされたアンビエント、エクスペリメンタル、ドローン作品『Before』から。水音と絡まり合うスティール・ギターと残響音。録音は2015〜2017年だとか。
玉名ラーメン “komorebi”
YouTubeで発表された2分弱の新曲。よく耳を澄ますと、つぶやき、ささやきの陰でハイハットが小さい音で鳴っていて、小さな声ほど強烈な主張を持つ、という逆説を聴き手にぶつけてきます。
Seaketa “Trash Artificial Plants F”
制作中の新作とは方向性がちがう楽曲を集めた、という『Trash Artificial Plants』から。一言でいうなら、2019年のHair Stylistics。
haruru犬love dog天使 “VITAMIN(RoughMix)”
〈今見えてる光が マジでサイコな未来や〉と、冒頭からかっ飛ばす、はるるのnew shit。〈渋谷駅のホームで一人〉というラインがむなしく響く。
INTERNET ORDER “自動AUTOMATIC”
SNJOくんが紹介していて知った、iboiboさんの別名義。ちょっとUKガラージを感じるアッパーなハウス。元ネタは曲名のとおり。
Super VHS “shipbuilding”
“君に、胸キュン。”……ではなくSuper VHSの新作『Theoria』収録曲“shipbuilding”のビデオ。歌唱、本気ビンタ、気怠げダンスなどで主演のtamao ninomiyaを超フィーチャー。監督は関山雄太さん。
【田中亮太】
GeGeGe “醒めた”
金沢に拠点を置くミズノリョウトによるプロジェクトが今月18日(水)にリリースするセカンド・アルバム『MOON』より。サイケ・ポップの肝がループにあることを理解しきったアレンジが完璧です。このアウトロをあと10分は聴いてたい。
PUTAINS “Piece Of Cake”
こちらは愛媛です。ヤング・スリーピースが新曲を公開。以前、Jurassic BoysがVeni Vidi ViciousやThe Cigavettes、QUATTROといった2010年代前半に台頭したバンドからの影響を語ってくれたんですが、このPUTAINSもジュラボと近い系譜にいる気がします。ロックンロールへの屈託ないロマンティシズムが素敵!
ステレオガール “おやすみグッドナイト”
今年4月に開催した〈Mikiki Pit〉に出てくれた(天野龍太郎は衝撃のあまり翌日のライヴも観に行った)東京発の5人組、ステレオガール。いまの彼女たちが醸すカリスマティックなかっこよさを的確に映した映像が、ようやく出たのが嬉しい。すでにスタジアムやアリーナが視野にある?と思ってしまうくらい、各プレイヤーの演奏を際立たせたアンサンブルが最高です。
踊ってばかりの国 “バナナフィッシュ”
このバンドらしいドロドロのサイケ・ロックと思いきや、プロダクションの精緻な重なりはエレクトロニック・ミュージック的。酩酊しているようで、とことん冷めているところが怖ろしい。