日本でもブギー流行の中心的存在とされてきたタキシード。勝手に持ち上げて勝手に離れた風見鶏はともかく、この3作目まで追ってきたファンにとっては、いちばん満足できるアルバムになるのでは? そう思えるのは、前2作と比べて各段に音楽的語彙を増やしながら、そのどれもが上辺だけじゃなくブギーやファンクやR&Bの核心を洒落っ気たっぷりに再解釈した楽しさに満ちているから。シックやアイズレーズやジャム&ルイスなどの巨大なモチーフも、デイム・ファンクやバトルキャットやベニー・シングスという音楽的キャラの立った演者も、彼ら流のブギーに取り込んでしまう巧みさは別格。もちろん、そんなネタ探りのおもしろさやコラボの妙味とは別に、洒脱なダンス・ミュージックとしての機能も当然最高です。