インタビュー

菅野祐悟『菅野祐悟:交響曲第2番 “Alles ist Architektur”』 安藤忠雄ら4人の建築家のロマンと共振するライヴ録音盤

©松井康一郎 ワンミュージック

交響曲第2番は建築家のロマンに捧げるスペクタクル作

 数多くのドラマや映画の劇伴音楽を手がける作曲家、菅野祐悟が交響曲第2番を発表した。第1番の初演から3年を経た2019年4月29日、第1番と同じ藤岡幸夫指揮 関西フィルハーモニー管弦楽団によって初演されたライヴ録音がリリースされる。

藤岡幸夫,関西フィルハーモニー管弦楽団 菅野祐悟:交響曲第2番 "Alles ist Architektur" Columbia(2018)

 「交響曲の場合は、テーマを決め、構想を練るのに非常に時間がかかります。劇判音楽では作品や監督の世界観をどれだけ深掘りできるかが勝負になりますが、交響曲では自分自身をどこまで深掘りできるかが勝負。自分が熱狂できるテーマを見つけることが、いちばん最初の、いちばん大切な作業になってきます」

 そうして菅野が第2番のテーマに選んだのが〈建築〉。「すべては建築である」という建築家ハンス・ホラインの言葉を副題に掲げ、4つの楽章ごとに4人の建築家(レンゾ・ピアノ、アントニ・ガウディ、ル・コルビュジエ、安藤忠雄)の言葉が添えられている。

 「建築をテーマに選んだ理由はいくつかありますが、ひとつには建築と音楽の親和性があります。音楽というものは、場所があってはじめて成立する芸術ですよね。教会のための音楽、サロンのための音楽、コンサートホールのための音楽というように、歴史とともに音楽が演奏される場所は変わり、それによって音楽は形を変えてきました。また、交響曲という大きな作品を作る過程は、建築のそれとよく似ています。構成やバランスを考えながら横軸と縦軸を組み立て、それが全体で鳴ったときにどう響くかを計算する。音楽家も建築家も、もしかしたら似たような思考回路で作っているのではないか……。そんなことを考えていたときに、建築家の名言を集めた本と出会い、その言葉から大きなインスピレーションを得ました。このテーマなら自分を深く掘り下げられるのではないかと」

 多忙な日々の中、少しでも時間ができると各地に飛び、名建築やアートに触れているという菅野が描き出す交響曲は、聴く者の眼前に見たことのない景色を次々と展開させていくスペクタクルに満ちた作品である。

 「第4楽章のテーマにした安藤忠雄さんは、光の使い方を追求した建築家でした。瀬戸内海の直島にあるベネッセハウス ミュージアムは、安藤さんが設計した建物自体がアートになっていて、自然光だけで作られた空間が時間帯や天気によって表情を変えていくんです。その様はとてもドラマティックで、音楽的で、僕も〈光のような音楽を作りたい〉と思いました。建築というのは、言ってみれば人間のロマンと自然との調和。そういうところに惹かれたのでしょうね」

 さまざまな時代、場所に想いを馳せながらお聴きいただきたい。

 


LIVE INFORMATION

ヨコハマ・ポップス・オーケストラ2019
本広克行プロデュース 横浜音祭りスペシャル「劇伴の若き匠 菅野祐悟」

○11/1(金)19:00開演 会場:横浜みなとみらいホール
【出演】菅野祐悟(作曲・指揮・p)ヨコハマ・ポップス・オーケストラ
ももいろクローバーZ 本広克行(映画監督) 他
【曲目】交響曲第2番“Alles ist Architektur”より/菅野祐悟:映画『踊る大捜査線THE MOVIE』/『幕が上がる』/『PSYCHO-PASS Symphony』 他
www.kanaphil.or.jp/concert/1238/

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