インタビュー

Nulbarichが示すふたつめの宇宙――想像を超えるスピードで拡大中の音楽表現が注がれた新作をJQが語る

Nulbarich『2ND GALAXY』

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どんどんスケール感を増していくNulbarichの歩み

 ネオ・ソウル的な要素を採り入れたアーティストが耳目を集め、日本のインディー・シーンではそうした新たな音楽の潮流が本流へと移行していた2016年。それまではトラックメイカー/ソングライターとして活動していたJQが、バンド・スタイルのNulbarichとして世に出るには好タイミングだったと言えるだろう。同年6月にタワーレコード限定で発表されたシングル“Hometown”が話題となり、10月にはファースト・アルバム『Guess Who?』をリリース。ソウルやヒップホップを起点とする黒いグルーヴを血肉とするNulbarichの基本的な音楽性は、この時点ですでに確立されている。洒脱なアンサンブルを全編で展開するなか、ハウシーなテイストを注入した“Lipstick”のような技アリのナンバーも。

 そして、翌2017年の5月には初のEP『Who We Are』をリリース。アシッド・ジャズなマナーの小気味良いナンバーを軸ながら、ヨレたビートをJQのヴォーカルが滑らかに乗りこなす“On and On”にこのバンドのクールなセンスが滲んでいる。その後はジャミロクワイの日本武道館公演のサポート・アクトや初のワンマン・ツアーなどを経験し、同年12月には2枚目のEP『Long Long Time Ago』が到着。「ヒップホップに原点回帰した」という太いボトムが印象的な“In Your Pocket”に始まり、しっとりめな“Spellbound”、どこかファニーなファンク・チューン“Onliest”などでそれまでにない一面も披露している。

 そこに続くセカンド・アルバム『H.O.T』は、メジャーからのリリースに。ディスコやトロピカル・ハウスといった時流もさりげなく採り込みながら、ときにリズミックに、ときに流麗に躍るメロディーが聴き手の耳を奪う。特に“Almost There”の大らかな旋律は今回の新作へと直結するものだろう。

 同作以降はTVCMへの楽曲提供、日本武道館での単独公演など目覚ましいステップアップを遂げ、1年を待たずに届いたサード・アルバム『Blank Envelope』では、風通しの良い都市ポップ“VOICE”や、さいたまスーパーアリーナのステージにも映えそうな開放感のあるアンセム“Kiss You Back”のほか、トラップやハウス、ソウル/ディスコ、ファンクをポップソングへと結び付けた多彩なナンバーを提示。このバンドがリーチするフィールドの広さを印象付けた。今年はさらに、TVアニメ「キャロル&チューズデイ」の主役の二人が歌唱するオープニング・テーマ“Kiss Me”を提供したり、昨年の〈908 FESTIVAL 2018〉への出演を発端とするKREVAとのコラボ・チューン“One”が世に送り出されたりと、外部との仕事も。そうした活動範囲の拡張も、このバンドの好調を示すものと言えるだろう。 *bounce編集部

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