OPUS OF THE YEAR 2018
[特集]2018年の100枚+
例年通りor 例年以上に素敵な音楽が多方面から届いた2018年——そんな充実の年を象徴するグッドなアルバム作品を、順位ナシの100枚で振り返ってみましょう!
JUST A TOUCH OF 100
bounceの選ぶ2018年の100枚・前編
音楽、小説、スマホ用アプリの連動で物語性のある武道館公演を成功させるなど、2018年も総合芸術的な動きを見せた彼ら。鋭利なバンド・サウンド経由の〈日記的な表現〉の第一歩となった本作でも、その根底は貫かれていた。 *土田

“No Limit”の無双なカッコ良さでグイグイ牽引された前年末のビッグ・タイトル。“Him & I”で絡んだホールジーとの破局もありつつ、Jバルヴィンの“Machika”にも乗っかるなど、身のこなしはやはりスマートでした。 *出嶌
モノクロの動画から徐々に実体化してきた稀有なヴォーカリストが、丹念にシングルを重ねてついに辿り着いたドラマティックな初のアルバム。この後の最新ヒット“プロローグ”の表題通り、次のページはもうめくられている。 *出嶌
ソロ→バンド活動を経て新たなソロ名義で発表した初作では、80sエレポップや90sハウス、EDMなど多様なエレクトロニック音楽を抽出して華麗に転身。グラマラスな歌唱を乗せ、艶やかなダンス歌謡に仕立てて見せた。 *澤田

自身の出自を活かしてラテン・テイストを満載した本作が、レゲトン人気の追い風もあって全米No.1に付け、グループ時代の記録をあっさり更新。古巣の5Hがソロに専念しはじめたのも、カミラの成功が引き金になってる? *山西

2017年の個別展開に続き、クルーでの初作やKEPHAのソロ作でストリートの話題をさらったkiLLa。〈TROCKSTAR〉な振る舞いはXXXテンタシオンやリル・ピープとの同時代性を強く感じさせ、気にせずにはいられない存在でした。 *山西
ジャズやヒップホップ、ビート・ミュージックの意匠とそもそものポスト・ロック的な志向性が実験的に、かつポップに融合した最新アルバム。閃きの連続を目の当たりにするような、この知的な個性は孤高の輝きを放っている。 *土田

バンドの一体感を重視するあまり、カリスマティックな歌い手が不足していたロック界に救世主現る! フロント女子のイギー・ポップ風なキャラを活かしたド直球の演奏もカッコ良く、世界各地のフェスを荒らしに荒らしました。 *山西
グランジやプログレな新味がありつつ、高スキル&キャッチーなバンド・サウンドは相変わらずの品質保証。田淵智也は多くの楽曲提供に加えてTHE KEBABSも結成するなど、メンバーの課外活動にも動きが。 *土田

グランジ人気を受けてオリジナル世代が続々と復活するなか、スティーヴ・アルビニとスタジオ入りして往年のファンを喜ばせつつ、コートニー・バーネットの参加で若い層も取り込んだこのリユニオン盤は技アリでした。 *山西

ハニー・ハーズらの登場で激しさを増した〈ポスト・ハインズ〉争いですが、最終勝者はこの3人に決まり? 90s風の轟音で中指を立てたかと思えば、スパイス・ガールズをネタ使いして人懐っこく騒いだりするギャップにメロメロ。 *山西
5lack、OBKRとYaffle、ケンモチヒデフミらによるトラックを揃えた2作目。メロウなR&Bとアップリフティングなガラージを軸にして同時代性にも目配せしつつ、真夜中の情緒を孕む成熟したアーバン・サウンドを提示した。 *澤田

ミックスCDを最高の前哨戦とした13年ぶりの正式なフル・アルバム。出ただけでも収穫だが、不穏当な“Luvletter For Trash”や“ワルノリデキマッテル”のようなタイムリーな曲もあり、大御所にならない簡素な作りに好感。 *出嶌
生来のR&B/ヒップホップ感覚を2018年的なモードにマッチさせ、心地良い歌と美メロをアレンジの多彩さが見事に支えたメジャー初アルバム。この後には勢いを駆って武道館まで到達しており、新年も期待できそう。 *出嶌
伸びやかで華やかな歌声と別格のオーラを纏った圧巻のメジャー・デビュー作。溌剌とした海外産の楽曲がよくハマっていて、ゼッドの公式カヴァーなども含めてその年のうちに出した次作『NEO』も好盤でした。 *出嶌
R&Bやビート・ミュージックの突端を咀嚼したサウンドを鳴らしながら、彼らが本作の中心に据えたのは痛切さを帯びた歌声。モードに縛られない解放感と真摯な言葉とを手に、バンドは次のフェイズへ。 *澤田

VARIOUS ARTISTS Black Panther: The Album Top Dawg/Aftermath/Interscope/ユニバーサル(2018)
TDEモノではジェイ・ロックのアルバムも抜群だったけど、この話題作を外すほど天の邪鬼ではなく。ケンドリックやSZAら構成員をはじめ、カリードやジョルジャ・スミスも名を連ねた素敵なショウケース。 *出嶌

EU離脱に向けて混迷を極めるUKでは、政府にノーを突き付けるポスト・パンクスが台頭。シェイムと並んでブームを牽引した彼らは、フォール直系の演奏はもちろん、自虐ユーモアたっぷりの歌詞で英国ロック好きの心を鷲掴み。 *山西
好調なWACK発祥の新グループとして、多彩なポテンシャルと未知の可能性を垣間見せたカセットテープでの初アルバム。この後のミニ・アルバムも的の絞れた好内容だったし、新年はもう一段階ステップを上がりそう。 *出嶌
バンド自体の〈物語〉も投影した全シングルがアニメ・タイアップという記録は現在も更新中。なかでも“青空のラプソディ”のヒットを機に強めた開放的なムードは、この3作目でも冒頭のソウル・ポップから全開だ。 *土田
東洋的な旋律と変拍子が連なる異形のビート、民謡風のこぶしを交えた歌い口と、磨き抜かれたサウンド・プロダクション——鬼才が挫折を経て完成させた15年ぶりの復活作、そこで鳴るのは驚異的にオリジナルな音楽だった。 *土田

結果的に作品ラッシュとなる2018年の起点となった一枚。率直な人間味の出てきたマイク捌きを軸に、真摯な作風はいよいよ研ぎ澄まされている。そんな緊迫感が終曲“ぶどうかんのうた”へ向かって解けていく構成も見事。 *出嶌

前作ほどの衝撃はないとしても日本で真に不可避な存在となったのは本作からか。もはや安心感すら覚える聴き心地で、ダラダラした長尺の展開も時代を象徴する1枚……というか2枚組。個々の活躍も引っ括めて刺激的だった! *出嶌
レゲトンやヨット・ロック風を交えて欧米の流行にも沿いつつ、タメの効いた切なげなハイトーンで6年ぶりのアルバムを束ね、〈これがジャマイカを代表する声だ〉と宣言。ゲストなしの作りからも絶対的な自信を感じました。 *山西

〈Sound Of 2018〉に選ばれ、順当にブレイクした多国籍集団。この初作を皮切りにゴリラズのリミックスなども手掛けるようになり、2019年には単独の来日ツアーや准メンバーのソロ・デビューも控え、快進撃はまだまだ続く! *山西

“Bodak Yellow”で2017年のブライテスト・ホープと目された彼女は、ブルーノ・マーズとのニュー・ジャック合体を手始めにして2018年のMVPに。ラテン・トラップの“I Like It”まで時代を引き寄せる人ならではの初作。 *出嶌

ワム!使いやボーイズIIメン客演曲など、80s~90sのベタな部分を吸収して流行と一定の距離を置き、ジンクスに打ち勝った2作目。裏方としても印象的な仕事を残し、あの人の二番煎じではなく独自のポジションを確立しました。 *山西

リラクシン~チルアウト系のヒップホップ作品が大きな支持を獲得した2018年、その源流のひとつとも言える彼は6年ぶりのアルバムで意図せずして別格の回答を提示してみせた。この後に出た『HOLIDAY』(→P26)も必聴。 *出嶌

殺気だった才能が〈ポエトリー・ラップ〉的な形容を抜けていよいよ開花したフル・アルバム。ささくれたバンド・サウンドの刺激は言わずもがな、コラボやリミックス展開、ソングライターとしての活躍も目覚ましかった。 *出嶌

クィアであることを公表し、SF志向を捨てて生身の人間へ。ブライアン・ウィルソンやグライムスと作ったカラフルな曲に合わせて自由に性を謳歌していく姿は、多様性の受容が求められる現代に神々しく映りました。 *山西
若き敏腕プロデューサーが、宇多田ヒカルのプロデュースでソロ・デビュー。静謐なサウンドに繊細で情感豊かなファルセットを泳がせた14曲には、フランク・オーシャンを歌謡曲へ昇華したような挑戦的で普遍的な感触が。 *澤田

レックス・オレンジ・カウンティをはじめ、次々と俊才を輩出している南ロンドン。グライムやジャズ・シーンとも密に絡む同地のインディー勢の象徴として、2017年のキング・クルールからバトンを受け取ったのはこの男です。 *山西

90年代アーバンの風情が現代的なマナーとして自然に定着していくなか、そのオリジネイターが久々に決定的なアルバムを作り上げたのは抜群のタイミングだったかも。そうじゃなくても“Long As I Live”など曲が粒揃いすぎて。 *出嶌

劇場版アニメ「リズと青い鳥」のサントラは、その舞台である実在の高校でのフィールド・レコーディングを素材にした〈物音オーケストラ〉集。少女たちの繊細な心の動きとシンクロする、儚く美しい音響作品に。 *土田

ダンス系の客演を機にブレイクするという成功の法則を体現した2018年の新ヒロイン。マシュメロらと組んだこの初作から、デヴィッド・ゲッタやクリーン・バンディット作品への参加まで、世間の期待にきっちり応えてくれました。 *山西
さらなるグルーヴ探求の旅を経て、ポリリズムや変拍子も呑み込む破格のサウンドに到達した4作目。アクロバティックな音の応酬が練られたアンサンブルによってスムースに鳴らされる凄みたるや。 *澤田
この5人が日本デビューを飾ったことは、昨今のラテン・アーバン熱風の嬉しい産物。リトル・ミックスやメーガン・トレーナーとのリミックスもヒットし、ラテンものに馴染みのない人にまでその魅力を届けた功績はデカイです。 *山西

過去の客演仕事のツテを活用し、さらにサンダーキャットやテイム・インパラの力も借りて南米由来の官能的な歌声をメロウなサイケ色に染め、どこから入っても楽しめる音世界を展開。そりゃ〈フジロック〉も大盛況ですよ。 *山西

炎上商法的な言動はさておき、先行曲の特大ヒットに煽られて、時にアコギを手にメロディアスなラップで新たなロックスター像を打ち出した異端児。型破りなのは数字だけじゃないってことを苗場の舞台でも見せつけました。 *山西
小西康陽からFEBBまでを迎えて多彩を極めた音を並べながらも、バンド・アンサンブルはハードコアを貫くその姿勢。彼らだけの美しい所作で2018年の感情を掬い上げた12年ぶりの帰還作。 *澤田
前年に℃-uteを解散した若きヴェテランが、奇しくも憧れの存在が表舞台を去った年に待望のソロ・デビュー。キュートなダンス・ポップと美味なるロックのスタイルをみずから受け継ぎ、上々の成果を上げてみせた。 *出嶌

長い下積みを経て表舞台へ飛び出したビービーは、イマっぽい退廃美とオーセンティックな風合いを共存させたアーバン・ポップでグラミーにもノミネート。ニーヨやリタ・オラほか、外仕事も引く手数多な充実の一年でした。 *山西
多くのガールズ・バンドたちのひとつの指針である2人組のラスト作は、ここにきて打ち込みを多用したプロダクションに。子を持つ親となった橋本絵莉子の未来を見つめる詞を含め、最後まで新鮮な驚きを与えてくれた。 *土田

2018年のラテン景気における彼の立ち回りを見て思い出すのは、2000年代初頭のショーン・ポールを取り巻いていたクロスオーヴァーな過熱っぷり。それほどの存在による普通にマストな一枚です。他にもラテンの好盤は多かった! *出嶌

ブリット・アワードの批評家賞とサントラ『Black Panther: The Album』参加で一気に浮上した彼女は、英国ならではの気高さ/エッジを往年のネオ・ソウルに溶かした歌で世界をブルーに染め、下馬評通り2018年の顔に。 *山西

リンキン・パーク『One More Light』と地続きのアンビエントな音作りも流石でしたが、絶望から抜け出そうとする過程を作品全体で表現していた点に震えました。アルバムというフォーマットの魅力を再確認した人も多いのでは? *山西

パンキッシュに原点回帰を図りながら、フリージャズやドラムンベースを取り込んでインダストリアルの過去と現在を結んだ傑作。トレントのソロからデュオ体制に……という超ド級な話題も霞むほどの攻めた内容にアッパレ。 *山西

PANIC! AT THE DISCO Pray For The Wicked DCD2/Fueled By Ramen/ワーナー(2018)
シナトラ、プレスリー、そしてフレディ・マーキュリーの背中を追い、ドラマティックに舞ったP!ATD。これまでの苦労はすべて本作のためだったと思えたし、クイーン・イヤーな空気にもぴったりフィット。 *山西

ダン・オーバック主宰のイージー・アイが本格始動した2018年。なかでもシャノン&ザ・クラムスの紅一点による初ソロ作は、60sポップ調を主体にしたダン好みのヴィンテージ・サウンドでレーベルの方向性を決定付けることに。 *山西

6IX9INE Day69: Graduation Day Scumgang/TenThousand Projects/Interscope(2018)
数年後に2018年を振り返った際に〈ああ、こんな時代だったね~〉と真っ先に思い出しそうな虹色ヘア、チープで鋭角的なビート、悪たれなフロウ。そんな意地悪な目線を裏切る長い活躍を望みたい若き才人。 *出嶌


















