デビュー21年を迎えた椎名林檎の、〈デビューから東京事変始動まで〉の代表曲を網羅したDISC 1と、〈その後から現在まで〉の代表曲を網羅したDISC 2からなる、文字通り〈初めてのベスト盤〉。……なのだが、もはや林檎作品には欠かせないエンジニアで、彼女曰く〈現場一の変態〉、井上雨迩の手による〈アップデートミックス〉が全編にわたって施されており、何百・何千回と聴いた人だからこそ気付く〈何だこの音!!?〉が多数散りばめられている(楽器のフレーズ自体が変わっていたり、オリジナルには無かった音が鳴っていたりする箇所も。もはやミックスの範疇を超えている)。
そうして生まれ変わった曲から見えてくるのは、時代が変わり、聴く環境が変わり、そしてミックスが変わろうとも、椎名林檎の楽曲は常に新しく、強く、美しいということ。スピーディーでジャジーな“公然の秘密”、同期の盟友・宇多田ヒカルを招いたクールな“浪漫と算盤 (LDN ver.)”という最強の新曲2曲に、これまでCD未収録だったリミックスも収録され、吉岡里帆でなくとも〈キャー!! 最高!!〉と叫ばざるを得ない豪華な仕上がりになっている。