2016年の〈紅白歌合戦〉で一瞬復活したものの、本格的な活動再開となると8年ぶり。この新作はメンバー5人がそれぞれ作曲し、椎名林檎が詞を書いた5曲入りで、アクロバティックかつ切っ先鋭いバンド・サウンドは、いかにも彼女たちらしい折衷的で実験的なもの。レトリカルで重層的な詞からは、ソーシャル・メディア中毒な社会への冷徹な視線も窺える。ハイエンドでラディカルで、当代随一な一作だ。

 


〈再生〉後初となる作品は、解散前ラストアルバム『color bars』(2012年)同様にメンバー5人がそれぞれ作曲した5曲を持ち寄った作品に。散り散りになったり群衆になったりと複雑怪奇な動きを見せるファンファーレ“選ばれざる国民”、アダルトでキャッチーでおなじみのラテン要素を取り入れた“うるうるうるう”、事変流応援歌の最新ヴァージョン“現役プレイヤー”、人間の営みを猫が見つめる6/8拍子“猫の手は借りて”、そして暗躍するスパイのようなクールなナンバー“永遠の不在証明”と五者五様の楽曲が出揃っている。しかしそこに通底しているのは、どこか現在社会のカオスさとかその中で暮らす人間の孤独さとかを、ある種予言的に表現しているところ。いま毎日目が離せないニュース番組をアルバム・タイトルにしたのも、偶然ではないはずだ。