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〈何かを成し遂げたくなる〉カシオの電子機器

――若い世代といえば、ちょうど先日、音楽家の網守将平さんと、DATSやyahyelのドラマーである大井一彌さんの対談を行い、彼らがどのくらいYMOに影響を受けたか話してもらいました。彼らのような〈グランド・チャイルド世代〉と呼ばれるところまでYMOの遺伝子が受け継がれていることに対して、どんな思いがありますか?

「そこは謎なんですよね。きっとYMOにもいいところがあったんでしょう(笑)。未だにニューヨークのアーティストが〈ユキヒロ・タカハシの『NEUROMANTIC』(81年)を聴いたことあるか? 一番好きなアルバムなんだ〉なんて言ってくれてたり。歌とか下手なんだけど、いいところを見つけてくれているんだなあって思います。まあ、あの頃、ピーター・バラカンに英語の発音についてはずいぶんしごかれたので、だいぶマシになったかな、とかね」

高橋幸宏 NEUROMANTIC ALFA MUSIC INC.(1981)

――大井さん、網守さんも言っていましたが、〈ユキヒロ終わり(曲のエンディングをドラムのフィルで締めること)〉はミュージシャンの間では全世代共通用語になっているそうです。

「あれはもう〈World Famous Yukihiro's Ending〉ですね(笑)。ただあれも、〈フィルで終わっちゃえばいいんじゃない?〉みたいな、その時の気分で決まったものなんですよね。〈無駄なアウトロをつけるくらいなら、唐突にフィルで終わっちゃえばいいじゃん!〉〈そのほうが、曲の余韻に浸れるんじゃない?〉って。

――〈ユキヒロ終わり〉には、そんな裏話があったのですね(笑)。では最後に、カシオの魅力について改めてお聞かせください。

「カシオはただの電機メーカーではなく、何かをやりたくなる、何かを成し遂げたくなる原動力に満ちています。これからも、その独自の世界を貫き通してほしいですね」