Page 3 / 5 1ページ目から読む

カイピリーニャを飲み、サントスのビーチに行って……サンパウロ録音

――というところで4都市目、サンパウロ録音の2曲。プリンスのキーボード奏者だったブラジル人のヘナート・ネトがプロデュースしていて、バンドとのセッション・スタイルの録音ですね。

「そう、まさに同時に一発録りしました。ヘナート・ネトとは一緒に録りたかったんですよね。トゥーマッチなプロデュース・ワークとかじゃなくて、せーので、昔ながらのスタイルで録りたくて。ホントに楽しくて、何テイクも録りました。面白かったなあ」

――サンパウロ録音の“想い出オブリガード”の歌詞にはカイピリーニャ(ブラジルのスピリッツ、カシャーサのカクテル)をはじめポルトガル語の言葉が出てきます。滞在中に作詞したのですか?

「そうです。向こうでカイピリーニャを飲んで、サントスのビーチに行ったりして、楽しかったですね。楽しさで言うとブラジルがいちばんでした」

――サンパウロの日系人街がタイトルになっている“リベルダーデのかたすみで”は、作詞が西寺郷太さん。この歌詞もあらかじめ作られていたものではないですね?

「もともと大枠はあったんですけど、僕がリベルダーデにいるときにメールで連絡をとりあって、レコーディングのちょっと前に歌詞が届きました。もともと“愛は急がず -Oh Girl-”という僕の曲があって(2016年作『4YU』収録)、これも作詞が西寺郷太さんなんですけど、その曲の主人公がリベルダーデで彼女を想うっていうストーリーの繋がりもあって」

――“愛は急がず -Oh Girl-”の第2章ですね。

「そうです。地球の裏側であなたを想う、みたいな(笑)」

――ブラジルの音楽は以前から聴いてました?

「ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンはもちろん知ってますけど、正直、ブラジル音楽をめちゃめちゃ聴いてたわけじゃないんで。でもブラジルのファンク・バンドは好きでしたね。ブラジル人のファンクとかブラック・ミュージックは面白くて、絶対にレイドバックしないでみんなが常に前に前に疾走感で行くから、それがエネルギーを生むのが爽快で。同時の音圧力みたいな(笑)。あれはすごいですよねえ。ボサノヴァとジャズの相性もすごくいいし、面白いなあって思いますね。自分があまり通ってこなかったところなんで。

で、インゴクニートのブルーイがブラジル・ミュージックをすごく好きで、ブラジルの音楽の話をメチャメチャしてくれて、〈エヂ・モッタは絶対、ゆうとも合うから今度、紹介する〉という話にもなったり。今回は実現しなかったですけど、エヂさんともいつかやりたいですね。あんなファンキーにローズを弾く人って、なかなかいないですからね」