激動の2019年から新しい旅路へ踏み出した6人。初の映像作品はアクシデントを熱狂で乗り越えた帝国の逆襲と気持ちE未来へ向かう最高潮の記録となった!!

 濃厚なストーリーを爆発的な勢いに転化した2019年の集大成として、大作『the GREAT JOURNEY ALBUM』を引っ提げ、〈EMPiRE'S GREAT ESCAPE TOUR〉のファイナルを12月19日にZepp DiverCityで迎えたEMPiRE。当日はインフルエンザでMAYU EMPiREが出演を見合わせ、5人でのステージを余儀なくされたものの、その公演内で無料のリヴェンジ公演開催がすぐさま告知され、年明け1月5日の同会場には無事に6人の姿があったわけです。そんな晴れ舞台を記録した彼女たち初の単独映像作品「EMPiRE'S GREAT REVENGE LiVE」について、今回はMAYU EMPiREとMAHO EMPiREに話を訊きました。

EMPiRE EMPiRE'S GREAT REVENGE LiVE avex trax(2020)

 

この先も絶対に楽しませる

――今回の映像作品は〈REVENGE〉がメインですが、まずは〈EMPiRE'S GREAT ESCAPE TOUR FiNAL〉が12月19日に行われて。MAYUさんのお休みがアナウンスされたのは前日でしたね。

MAYU「はい。前日の練習前に病院に行って……。いまでも後悔があります。ありがたいことにリヴェンジの機会をいただいたんですけど、やっぱり年始のほうは来れなかった人も大勢いたのがホントに申し訳なくて。何か月も前から年末の予定を作って来てくれた人もいるのに、私一人のせいで1回きりのチャンスというのを潰してしまって、物凄い後悔がありますね」

――MAHOさんはどう感じました?

MAHO「最初は〈あ、終わった〉って思いましたし、来てくれる方に6人の完成形を観せられないことに関しては、グループとして〈ああ、やってしまった〉って。でも一瞬そう思ったけど、すぐに5人の歌割やフォーメーションを覚えたりするほうに切り替えました。やるしかないって」

――いろいろ作り直して、直前まで練習されてたんですね。

MAHO「はい。アルバムのリリイベもありつつ、前日の夜からギリギリ開場前までの時間で何とか(笑)」

――当日はどうでしたか。

MAHO「焦りもあったし、〈5人でも完璧にしなきゃ〉みたいな感じになって、少しでも崩れるとボロボロになる状態がリハーサルまでずっと続いてたんですけど、そこから〈やってやろう〉みたいな気持ちをみんなで固めて、本番に臨んだ時は吹っ切れてました。“WE ARE THE WORLD”から始まったんですけど、目の前にエージェント(EMPiREファンの総称)のみんながいて、盛り上げてくれたのがホントに凄いパワーになって」

 

――お客さんの楽しもうとする熱気が凄かったですね。

MAHO「はい。そこでメンバーが吹っ切れたのもわかったんですよ。リハーサルでのドギマギ感がなくなって、そこからはいつものライヴ感をちゃんと楽しめましたね」

――NOWさんの歌声がハスキーになってたのも、結果的には凄くエモーショナルに響きました。

MAYU「ずっと練習して、嗄れちゃって」

MAHO「うん。NOWはもともとそんなに調子が良くなくて、それでも絞り出して歌ってくれて」

――MAHOさんはいつも以上に歌唱面をリードしている印象でした。

MAHO「MAYUちゃんが出られないってわかった時、自分から言ったんですよ、〈MAYUちゃんの歌割ください〉って。自分から言ったほうが自分で責任を持てるだろうと思って。そのわりにけっこうボロボロだった反省はあります」

――特に“EMPiRE originals”が象徴的でしたが、いつもと違う歌割はどうでしたか?

MAHO「歌ってみて改めてMAYUちゃんの凄さに気付けましたね。“ERASER HEAD”の出だしもそうだし、“EMPiRE originals”のロングトーンも全然息が続かなくて。スゴッと思っちゃいました」

MAYU「みんな凄いなって思ったよ」

――MAYUさんはどう過ごしてましたか?

MAYU「当日は……ハッシュタグをひたすら追ってました(笑)。その、エージェントのみんなが開場前から終わった後までどういう楽しみ方してるのか、状況を把握したくて。で、毎回ライヴ後に定点で撮った映像をもらうんですけど、それで初めてライヴを観て、もう泣きましたね(笑)」

――それはどういう涙?

MAYU「みんなめっちゃがんばったんだな……っていう感謝(笑)。リハーサルで超ギスギスしてたって後から聞いても〈そうだったの?〉って思うくらい集中できてたと思って、何か嬉しかったです」

MAHO「で、5人の“Have it my way”がYouTubeに出て悔しかったんだよね?」

MAYU「そう、〈めっちゃカッコイイじゃん、クソッ!〉って(笑)。自分のせいなんですけど、そこにいられなかったのが悔しくって」

――その悔しさを晴らすべく、1月5日に改めて6人で臨んだのが〈EMPiRE'S GREAT REVENGE LiVE〉です。同じ会場、同じセットリストでやられていかがでしたか?

MAHO「6人揃ったので圧倒的なものを観せなきゃいけないっていう意識は全員の中にあって。だからといって、気合いが入りすぎてガチガチになるわけでもなく」

MAYU「よくあるやつね(笑)」

MAHO「うん、19日のほうはね」

MAYU「映像で観ると19日は明らかに表情が違って、みんな殺気みたいなのがバシバシ出てるけど(笑)、5日はみんな楽しんでやれたと思うし、エージェントもね」

MAHO「うん。エージェントと作る空間をちゃんと感じながらできたなって思います。19日もやれてるつもりだったけど、後から映像を観ると、みんな〈絶対そんな余裕ないだろ〉っていう顔をしてたので(笑)。5日は2020年の大切なスタートにもなったんじゃないかなって思います」

――ファイナル本来の主旨から振り返ると、ツアーの集大成でもあったわけで。

MAYU「そうですね。〈GREAT ESCAPE TOUR〉は、〈お客さんを楽しませるとはどういうことか〉を考えるようになったツアーで、いままでは自分たちが満足したものをただ観せてるだけだったんだな~と思いました。それをセミファイナルの山形でめちゃめちゃ感じたというか、凄く良い空間になって、〈ああ、こういうことか!〉って私の中で凄い納得がいって。NOWとMAHOちゃんの凱旋っていうエピソードも込みで、凄いアットホームだったよね?」

MAHO「そうだったね。エージェントと一緒にライヴを作って一緒に楽しむっていう感覚を完全に掴めたツアーだったと思います。この先も私たちが絶対に楽しませるし、それが伝染していくんだろうなっていう自信にも繋がっていて、そう思えるきっかけだったなって」

――いい調子だけに、そうなると改めてライヴが待ち遠しく感じられますよね。

MAYU「めっちゃ感じてますね」

 

止まってられない

――だからこそまずは今回の映像を観ろってことで。で、初回限定盤には新曲2曲入りのカセットテープがサプライズで付いてきました。

MAYU「まず“ORDiNARY”は、いままででいちばんしっとりしてるよね。もう完全に勢いとかじゃなく、魅せる感じの曲になってて。歌詞ももうワンステップ上に行けたというか、誰かに意味を届けるような歌詞を渡辺(淳之介:WACK代表)さんが書いてくださって、それが凄く嬉しかったです。いままで“ピアス”とか“RiGHT NOW”とか自分たちのこと中心に歌ってきたのが、自分たちを通して誰かにメッセージを伝えるようなことをさせてもらえるんだなって」

――歌詞もそうだし、幻想的でシューゲイズな曲調もかつてない雰囲気ですけど、レコーディングはどうでしたか?

MAHO「これは私が最初に歌を録りました。松隈(ケンタ:サウンド・プロデューサー)さんから〈もっと柔らかく、息いっぱい出して〉みたいなアドヴァイスをいただきながら、〈Charaさん風に〉って言われて歌ったんですけど、みんなには〈MAHOみたいにふざけて歌え〉って」

MAYU「そうそう、大真面目に歌ってるのにね(笑)」

――そう言われると、確かに全員のトーンがMAHOさんっぽいかもしれない。

MAHO「そう、全員私になりましたね(笑)。いままでと違いすぎて楽しかったです」

MAYU「楽しかった。〈EMPiREはアメリカの音楽をずっとやってたから、今回はイギリスのやつだ〉って松隈さんに言われて、UKのバンドみたいに気怠く歌うことを意識してやりました」

――テンポ感だけで言うと“きっと君と”に続くスロウですけど、もっと穏やかな雰囲気で表現力が問われますね。

MAYU「そう、めっちゃ良い曲なんですけど、難しいんですよ。私はライヴで張り上げるようなパートが多いので、こういう儚い表現には苦戦したというか。でも、〈私ってこんなふうに歌うんだな〉って思ったし、また新しいところに踏み入れた感じがして楽しかった」

MAHO「アルバムの印象が前向きで強い、〈ガツガツ行くぞ〉みたいな感じだったので、ここでちょっと肩の力を抜いて、みたいなギャップが観せられる曲だなと思います」

――“ORDiNARY”っていう曲名通り、普通の日常の大切さを実感させられるタイミングにハマってくる内容でもあって、深く心に響きますね。

MAYU「確かにそうですね。凄い」

MAHO「この春に出せて良かったです」

――そしてもう1曲の軽やかな“I have to go”はMAHOさん作詞で。前の“きっと君と”は恋愛を意図してなかったけど、これは……。

MAHO「はい(笑)。これはラヴソングです」

MAYU「今度こそ(笑)。この詞を書いたおかげでメンバーに〈ラヴソングの女〉という異名を付けられて」

MAHO「めちゃくちゃイジられてます」

MAYU「軽くてポップな雰囲気の曲なので、あんまり重すぎない、でもちょっぴり切ないみたいな雰囲気で恋愛を書くのもいいんじゃない?みたいなテーマでみんな書いたのかな。私も書いたんですけど、リンクする経験がなさすぎて事故りました(笑)」

――それで言うとMAHOさんはどういうイメージで書いたんでしょう?

MAHO「これは……年末年始を初めて東京でひとりで過ごしたんですよ。いつも年末は地元で友達や家族と過ごしてたんですけど、それがなくて寂しかった時の気持ちを書きました。だから、恋愛の相手を考えて書いたわけではないんですけど、地元の子と遊んでたこととか昔の思い出とか、何か似てるじゃないですか、恋愛感情と。そういう気持ちを思い出しながら書きました」

――うまい回答ですね(笑)。

MAYU「うまい回答(笑)。ずっと考えてたもんね? 〈“I have to go”で突っ込まれたらどうしよう〉って」

MAHO「でも新しいと思います。たぶん、私がそんな恋愛のことを書くのは意外ってみんなには思われてるので」

MAYU「うん。でも、曲と合ってて凄く良い。歌もMAHOちゃんから録ったよね?」

MAHO「そう。“ORDiNARY”の後に録ったので、その流れでもうCharaさん風が定番になりました(笑)」

――この2曲でEMPiREの柔らかさと同時に、MAHOさんの新しい持ち味も生まれた感じですね。

MAHO「はい。もうやれるだけやりました(笑)。でもわかりやすくラヴソングっぽい曲をメンバーがレコーディングしてるのがおもしろくて。凄い感情の入る子がいたり、YU-Kiちゃんは哀愁漂う感じで歌ってたり(笑)」

MAYU「人間性が出てたよね(笑)」

 

――EMPiREもそういう段階に入ってきたというか、いままでは戦闘力を競うような曲が多かったと思うので。

MAYU「そうですね。やっぱり『the GREAT JOURNEY ALBUM』で主軸がしっかりしたからこそ、幅を広げるために新しいことにチャレンジできるようになったと思いますね。聴く人も肩の力を抜いて楽しめる感じがします」

――この後には〈SUPER FEELiNG GOOD TOUR〉も控えていますが、その初日が横浜Bay Hallというのも、グッとくるものがありますよね(取材後、ツアー前半の開催見送りと振替日程が発表)。

MAHO「はい、24時間イヴェント以来の」

MAYU「そうなんですよ。前体制の6人で最後にやった場所に、いまのEMPiREとエージェントで帰れるのがメチャメチャ楽しみで。そこに詰まったものを大事にしつつも、それを上回る思い出を作りたいなって」

MAHO「ありがたいことにファイナルのZepp Tokyoまで全公演ソールドアウトしていて。次のツアーでは、その先を一緒にめざしていけるエージェントと私たちの信頼関係を作りたいというか、一回きりの楽しみじゃなくて〈その先を一緒に作っていこう〉って思ってもらえる空間にしたいです。前のツアーでは〈いまを一緒に楽しもう〉って言いすぎてたので、一緒に作ってく感覚をもっと強くしたいなって思います」

MAYU「そうだね。もっと上のステージに立ちたいから、そこを一緒にめざしてくれる人たちを増やしたいし、そう思ってもらえるような自分たちにならなきゃなって。止まってられないなって感じですね」

MAHO「次に会えるのがいつかわからないけど、楽しみにしててほしいです」