これこそがEMPiREのサウンド――超いい感じの6人がクールな夏に勝負をかける新作は、この先の未来に広がる間違いのない景色を約束する!

 年末年始の熱狂を初の単独映像作「EMPiRE'S GREAT REVENGE LiVE」で総括すると同時に新曲“ORDiNARY”と“I have to go”をサプライズで発表し、上昇の気運を纏って2020年の新章へ突入した……はずだったEMPiRE。初日の横浜Bay HallからファイナルのZepp Tokyoまで全公演が瞬く間にソールドアウトした〈SUPER FEELiNG GOOD TOUR〉は無念の開催中止となったものの、そんな状況に負けじと届いたのが7曲入りのEPとなる新作『SUPER COOL EP』です。季節感も湛えた超クールな力作について、今回はMAYUとYU-Ki、NOWの3名に話を訊きました。

 

カッコつけすぎてダサい

――3月後半に映像作品の件で取材した際は〈SUPER FEELiNG GOOD TOUR〉に向かう話でシメたんですけど、そのツアーも中止になってしまいました。

MAYU EMPiRE「やっぱり世の中の状況が見えてきた最初の時期は、かなり落ち込んじゃいました。〈今年はEMPiREの年にするぞ!〉って意気込んでたし、グループとしての空気感も凄い良かったので、急にブレーキかけられた気がして。そこから落ち込みまくって、落ち込むのも飽きて、この置かれた状況で何ができるかを考えられるようになって。だから、忙しさを言い訳にしてやらずにいたことや、グループや自分のためになるかもしれないことをこの期間は一生懸命やろうと思って、いままでとはまた違う方法で、自分を伸ばせてるのかなとは思います。ただ、これまでは当たり前にライブがあるからこそ当たり前に努力する生活だったので、目に見える目標がないなかで自分を律しなきゃいけないのが難しいなって凄く思いましたね」

NOW EMPiRE「私は正直、いまだに実感がなくて。ライブできることを当たり前に思いすぎてたから、受け止めきれてない部分もあるんです。でもメンバーは〈がんばろう〉って言ってくれるし、自分も切り替えて、まずは健康第一かなと思って生活リズムを崩さないようにしてますし、筋トレも始めて」

――腹筋を割ったり?

NOW「はい。けっこういい身体になってます(笑)」

YU-Ki EMPiRE「あ、私もジムに行けないので腹筋ローラーで鍛えて、腹筋を割りました(笑)」

NOW「割ったの?」

――みんな鍛えてる(笑)。もちろん休むこと自体にも不安はありましたよね。

YU-Ki「不安はあります。MAYUちゃんが言ったみたいにグループとしていい空気になってるのは感じてたし、応援してくれる人の数も凄く増えて〈初めてツアー行くよ〉っていう声も多かったし、初めて行く場所も増えたし、〈この先に繋がるツアーにしよう〉ってみんなで思ってたのに全部なくなって。ライヴ活動が再開できても同じ人たちが興味を持ってくれるかは自粛中に自分たちがどう動くか次第でもあるから、そのぶん焦りはありました」

――今回リリースの『SUPER COOL EP』は本来ツアーと連動していたというか。ツアー初日だったはずの日に先行曲“SUPER FEELiNG GOOD”がまず配信されました。

MAYU「そうです。ホントに〈SUPER FEELiNG GOOD TOUR〉の初日にサプライズでいきなり初披露して、その後で配信するっていう予定を踏まえて歌詞も書いたものですね」

――それで〈This is surprise〉っていうフレーズを歌詞に仕込んでたのに。

MAYU「そうなんですよね~(笑)。WACKツアーの遠征の帰りに歌詞を書いてた記憶があるので、2月後半から3月頭には歌詞を書き終わってました。レコーディングもドリちゃん(MiDORiKO EMPiRE)がWACK合宿オーディションに行く前とかには進めてたんじゃない?」

YU-Ki「うん、ドリの合宿中に振付けを考えたりしてたね」

――そうやって入念に準備されてたEPですが、そもそもはどういう趣旨の作品なんでしょう。

MAYU「今回は私たちの基盤としているダンス・ミュージックの要素をより強くしたものがA面で、歌モノがB面で。その両方を楽しめるっていうか、EMPiREの個性を出してるダンスの曲は大事にしつつも、歌でも聴かせられるようにっていうEPですね」

YU-Ki「これだけでひとつのライブが完成できるぐらい幅広いし、流れにも凄いこだわってるので、聴き終わった後に〈あ、楽しかったな〉みたいな感覚が生まれる一枚かなって」

NOW「今回のEPは料理でいうフルコースだと思ってます。誰しもが絶対好きな曲を見つけられると自信を持って言えるぐらい、いろんな味が楽しめる一枚になったので、そこが自慢です」

――まず冒頭の“This is EMPiRE SOUNDS”は、イントロの感じも含めてライブの登場曲みたいなニュアンスがありますね。

MAYU「タイトルに〈EMPiRE〉って付いてるし、やっぱ大事な一曲です。これはカッコつけすぎてダサいというか(笑)、自分たちで〈SUPER COOL!!〉とか言ってるんで、ちょっとクスッてなるんですけど、それを超真剣にカッコ良くやりきってるというか」

――必要以上にイキってる感じで(笑)。

MAYU「そう、イキりすぎ(笑)」

――MiDORiKOさんが吠えてたり、それぞれの歌い方もいいですよね。

YU-Ki「ドリは〈狂い咲きの凶器〉っていう部分の歌割が絶対に欲しいってレコーディングの前から言ってました。中二心に刺さったらしいです(笑)」

NOW「あと、初めてサビをユニゾンで、みんなで歌ってます」

MAYU「そう、ハモリを録ったりしてレコーディングも楽しかったね」

――これはMVも公開されたばかりです。

YU-Ki「MV自体も〈カッコつけすぎてダサい〉をテーマに撮っていただきました。3人ずつでクルーザーとリムジンに分かれて、私とドリとNOWはリムジンに乗って、夜の女みたいな格好で。〈バラを甘噛みしてみようか〉〈じゃあ、次は花びらを唇で取ってみて〉って指示されながら(笑)」

MAYU「絶妙なカッコつけ演出で。私はMAHOちゃん、MiKiNAちゃんとマリン系の衣装を着てクルーザーの上でイキってるんですけど、ずっと小雨が降ってるっていう(笑)」

YU-Ki「リムジンだけのショットは雨で別日に撮り直しました」

――今年も雨女は健在なんですね(ちなみに取材日も雨)。

YU-Ki「え、いまは梅雨なんで」

NOW「アハハハ」

MAYU「これ、ダンスをめちゃめちゃ踊る曲で、過去イチで疲れる曲だと私は思ってるんですけど、MVはほぼダンス・パートがなくて(笑)」

NOW「ラストのサビだけ(笑)」

MAYU「そう、だからMVはMVとして楽しんでもらって、ダンスはまた別のライブや映像で楽しんでもらえたらなと思ってます」

――はい。それに続くのが先行配信されてた“SUPER FEELiNG GOOD”で、こっちは曲調もバキバキというよりは優しくて、音使いも涼しいEDMという感じで。

NOW「はい、音も凄くキラキラしてて、イイ感じの世界観が生まれてる曲です」

――韻を踏んでる歌詞が音の邪魔にならずに気持ち良く流れていくのもいいですね。

MAYU「やった(笑)。最初から韻を意識するように言われてたので。自分なりに韻を踏むよう意識して書きました」

――3曲目のポップな“Clumsy”は作詞がMiDORiKOさんとMAHOさんです。

MAYU「AメロとBメロがドリちゃんで、サビをMAHOちゃんが書いたんですけど、過去イチ歌詞が長くて文字が詰まってて、レコーディングでビックリしました。〈歌詞めっちゃあるじゃん〉みたいな(笑)」

YU-Ki「ドリは自分のことを書いた歌詞だって」

MAYU「っぽいよね。〈とりま〉とか歌詞にあんまり使わない、超若者(笑)」

YU-Ki「うん。言葉選びがドリっぽいし、音にハマって口ずさみたくなるようなフレーズが多い曲です」

――歌詞そのものはシリアスな部分もありますけど、曲調は凄い軽快ですよね。

NOW「ノリやすいテンポなんで、〈ライブでやったらめっちゃ楽しいよね〉ってメンバーで話してます」

MAYU「振付けはNOWと私以外の4人で考えたんだよね」

YU-Ki「そう、MAYUちゃんとNOWが一人で振りを作る曲があったので、その間に4人で考えることにして。パートごとに分担して考えたものをひとつにしたんですけど、何か曲の感じが〈野球っぽいな〉っていうイメージがあったので」

――野球っぽい曲とは?

YU-Ki「青春モノっぽい感じ。最後はハイタッチして終わったりとか。あの、あまりにも野球すぎて変えたところもあるんですけど(笑)」

MAYU「私的には、何か演技力を求められる振付けだなって感じはします。何か表情とかが大事な振り付けになってるな~と思って」

YU-Ki「EMPiREってバッキバキに踊るみたいな振付けが多いんですけど、これはちょっとコミカルな振りだったりとか、クセになるような動きが入ってるかなと思います。パートごとに個性が出てて味が強いから、よくまとまったなって感じです(笑)」