社会現象にまでなった大ヒット作『君の名は。』以来3年ぶりとなる新海誠作品である本作は、近作以上に見事に現在の東京の風景を切り取った映画であり(例えば高収入求人広告宣伝カーのある風景に痺れる)、また貧困問題というタームで『万引き家族』などと並べて考察できる映画でもある。何より、 新海自ら「賛否両論ある」ことを覚悟したという結末は、とある名作魔法少女アニメの新編のような踏み込んだものとなっており、その意味では『君の名は。』に否定的だった方にこそ見ていただきたい作品だ。落下するのは隕石ではなく私たち。主人公らが文字通り落下するクライマックスシーンの映画的快感は筆舌に尽くしがたい。